2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性疾患による乳幼児突然死の死因を解明する革新的診断法の確立と予防体制の構築
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15H05663
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 琢磨 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50634458)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳幼児突然死 / metabolic autopsy / 次世代シークエンサー / 機能的疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに:乳幼児突然死は機能的な異常が原因のことも多く、従来の形態的変化に重きをおいた検索では究明は困難である。とくに心臓不整脈疾患が関与する場合、形態的変化を伴わない機能的疾患であるがため、遺伝子検索が診断に不可欠である。 目的と方法:そこで本年度、我々は乳幼児突然死に対し、心臓不整脈疾患に関する遺伝子変異検索を行った。対象として、乳幼児突然死10例のDNAを抽出、次世代シークエンサーMiseq、truesight oneパネルを用い網羅的遺伝子検索を行った上に不整脈疾患関連遺伝子変異を抽出した。 結果:4症例で過去に疾患との関連が疑われるpolymorphismを検出した以外に、1例にイオンチャネル構成遺伝子の新規変異を検出した。 まとめ:対象症例は本学7症例、提携他大学3症例の検体も含まれ、本学検体のみならず多施設にまたがる複数施設対象研究を行うことができた。対象遺伝子として、従来はサンガー法により数種類の特定遺伝子のみの解析であったのに対し、本研究では数十種類にのぼる心臓疾患関連遺伝子を解析できた。「突然死」という表現型で一括りにされた症候群に対しては、従来の手法では対応困難であり、短時間で多数の候補遺伝子を検索できる本手法はさらなる応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通り、形態的異常を伴わない突然死症例の中に機能的疾患が疑われる症例を見いだすことができた。次年度の学術集会で成果を発表する予定である。 次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析の有用性を確認でき、法医学実務への応用が望まれる。この点ではおおむね順調に研究が進展していると言える。 一方、予定通りの検体数が揃わず、次年度以降、症例数を増加しさらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、目標の症例数には達しておらず、大規模なデータ解析は行えていない。 本年度は症例を増やすとともに、対象疾患・遺伝子を増やし検討する予定である。 また、培養線維芽細胞を用いた代謝酵素活性測定を行う予定である。
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