2017 Fiscal Year Annual Research Report
機能性疾患による乳幼児突然死の死因を解明する革新的診断法の確立と予防体制の構築
Project/Area Number |
15H05663
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
山本 琢磨 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50634458)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 乳幼児突然死 / 遺伝子変異 / 不整脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:乳幼児突然死症例に対し、診断・治療・予防といった「死体の総合医としての法医学」を掲げ、特に機能性疾患の診断・治療・予防方法の確立を行ってきた。 3年目にあたる本年度は、2年目に行った乳幼児突然死の遺伝子変異解析の論文化を行った。一方で、突然死71例中に死因につながる変異を検出できたのは多く見積もっても11例であり、残りの大半の症例で遺伝子変異は確認できなかった。従って、乳幼児突然死を遺伝子変異単独で説明するのは困難であった。そこで、突然死とrisk factorについて検討を行った。 方法:元論文で変異が検出されなかった60例を対象に、過去に不整脈のrisk factorの可能性が示唆されている変異G38S-KCNE1, G643S-KCNQ1, K897T-KCNH2, H558R/P1090L/R1193Q-SCN5Aについて、突然死群とデータベース上の健常人の頻度との相関関係を統計学的に検討した。 結果:いずれの変異も突然死群との頻度に有意差は認められなかった。 考察:これら6つの変異はそれぞれ電気生理学的機能解析実験や個別の症例報告で不整脈を引き起こす可能性が示唆されているものであるが、突然死全体としてみた場合にrisk factorとなるものではなかった。また、SCN5A遺伝子については、これら3つの変異を複数持つものがより不整脈を引き起こしやすいとする報告もあるが、ハプロタイプ毎の解析でも差は見られなかった。従って、個別では不整脈で死亡した児の存在を否定するものではないが、risk factor変異とは考えにくい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年計画の2年目で所属機関が変わり、新たに倫理審査申請手続きを行ったことから予定以上の進捗は見られていないが、遺伝子解析を行った症例も順調に増加しており、進捗は順調と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで、Metabolic autopsyの観点から代謝疾患と突然死との関連について検討し、さらに以前より示唆されている不整脈との関連も次世代シークエンサーという現在主流となっている解析手法を用い検討した。しかしながら、これらの疾患だけですべてを説明することはできておらず、今後は神経系疾患や筋肉疾患など、突然死との因果関係が想定されるものの未だ大規模な検討がなされていない疾患についても順次検討をすすめていく方針である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] Postmortem genetic analysis of sudden unexpected death in infancy: neonatal genetic screening may enable the prevention of sudden infant death2017
Author(s)
Oshima Y, Yamamoto T, Ishikawa T, Mishima H, Matsusue A, Umehara T, Murase T, Abe Y, Kubo SI, Yoshiura KI, Makita N, Ikematsu K
-
Journal Title
J Hum Genet
Volume: 62
Pages: 989-995
Peer Reviewed
-
-