2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群の病態解明および治療標的分子の同定に関する研究
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15H05668
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 健一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50738226)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(MDS)は、血球形態の異常を伴った骨髄不全と急性骨髄性白血病(AML)への移行を特徴とし、高齢者に好発する慢性骨髄性腫瘍である。2011年に申請者らの研究によってRNAスプライシング因子の遺伝子変異が、本症に特異的かつ高頻度(45-85%)に認められることが明らかにされたが、MDSにおいて実際にどのようなスプライシング異常がみられているかについては十分に解析されていなかった。また、MDSでは現時点では一部の症例で脱メチル化剤が有効であるが、治療効果を予測できるようなマーカーや治療抵抗性が獲得されるメカニズムは十分にわかっていない。本研究では、MDS患者骨髄由来のRNA検体(100症例程度)について次世代シークエンサーを用いたRNAシークエンス解析を行い、RNAスプライシング因子の変異とRNAスプライシングのパターンや遺伝子発現の関係を解析した。その結果、MDSではSF3B1、SRSF2、U2AF1といったRNAスプライシング因子に変異がみられるが、それぞれの遺伝子の変異がみられる症例では異なったタイプのRNAスプライシングの異常がみられることがわかった。さらに、脱メチル化剤による治療前後に経時的に採取されたMDS試料50症例についてMDSにおける標的遺伝子の変異解析を行い、治療効果と関係する遺伝子異常やクローン構造の変化を解析した。その結果、一部の症例では治療経過中に治療効果と相関するクローン構造が変化がみられることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、MDS患者骨髄由来のRNA検体(100症例)について次世代シークエンサーを用いたRNAシークエンス解析を行い、MDS症例におけるスプライシング異常について解析することができ、期待したように変異遺伝子によって異なったパターンを見出すことができた。また、高リスクMDSで脱メチル化剤による治療前後に経時的に採取されたMDS試料50症例についてについて標的遺伝子シーケンスを行い、変異解析およびクローン構造の解析を行い、治療効果と相関するクローン構造の変化をとらえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に変異解析を行った高リスクMDSで脱メチル化剤による治療前後に経時的に採取された50症例について、DNAメチル化に関わる遺伝子などのMDSにおけるドライバー遺伝子変異の有無と脱メチル化剤による治療効果の関係について検討する。さらには、腫瘍内の多様性がみられていた症例では1症例内でも治療効果がみられたクローンにのみ存在する高感受性と相関する遺伝子変異を検索する。さらに、治療経過中に耐性を獲得した症例については、経過中に獲得された遺伝子変異あるいは拡大したクローンに存在する遺伝子変異を同定することにより、脱メチル化剤への耐性獲得に関わる遺伝子変異を同定する。さらに、DNAメチル化アレイ解析(illumina社infinium)のデータと遺伝子変異のデータ、治療反応性のデータを組み合わせることにより、統合的に治療奏功性あるいは抵抗性獲得のメカニズムを解明する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] BRCC3 mutations in myeloid neoplasms.2015
Author(s)
Huang D, Nagata Y, Grossmann V, Radivoyevitch T, Okuno Y, Nagae G, Hosono N, Schnittger S, Sanada M, Przychodzen B, Kon A, Polprasert C, Shen W, Clemente MJ, Phillips JG, Alpermann T, Yoshida K, Nadarajah N, Sekeres MA, Oakley K, Nguyen N, Shiraishi Y, Shiozawa Y, Haferlach T, Du Y, Ogawa S, Makishima H et al.
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Journal Title
Haematologica
Volume: 100
Pages: 1051-1057
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Inherited and Somatic Defects in DDX41 in Myeloid Neoplasms.2015
Author(s)
Polprasert C, Schulze I, Sekeres MA, Makishima H, Przychodzen B, Hosono N, Singh J, Padgett RA, Gu X, Phillips JG, Clemente M, Parker Y, Lindner D, Dienes B, Jankowsky E, Saunthararajah Y, Du Y, Oakley K, Nguyen N, Mukherjee S, Pabst C, Godley LA, Churpek JE, Yoshida K, Ogawa S, Maciejewski JP et al.
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Journal Title
Cancer Cell
Volume: 27
Pages: 658-670
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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