2016 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性DICの生存率向上を目指して-ヒストンを標的とした新規治療戦略の探索-
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15H05684
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (20381171)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 集中治療 / 敗血症 / 播種性血管内凝固症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度から28年度にかけて、in vitroでのヒストンの中和活性を評価し、遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)にはヒストンの中和作用があること、rTMの領域別では、レクチン様領域だけでなく、Epidermal Growth Factor (EGF) 様領域、糖鎖結合領域にも中和作用があること、さらにはグリコサミノグリカン鎖が付加されたrTMタイプIIは、通常のrTMよりも中和活性が強いことを明らかにした。平成28年度から29年度にかけては、生体内(in vivo)でのヒストン中和作用を確認するため、動物モデルを作成して評価するプランを進めているところである。このうち、平成28年度は、in vivoでの評価系を確立することに焦点をおき、以下の二つのモデルを確立した。一つめはヒストンをラットの血管内に投与する炎症性播種性血管内凝固モデルで、二つめはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をラットの血管内に投与する敗血症モデルである。前者においては、neutrophil extracellular traps (NETs) 放出とフィブリン沈着を伴う急性腎傷害の所見が、後者においては、膿瘍や菌塊を伴う腎傷害や肺傷害の所見が観察され、重症敗血症モデルとして利用可能であることが示唆された。平成29年度はこれらの重症敗血症モデルを用い、in vivoでのヒストン中和活性の強い薬剤を選択するとともに、その有効性と有害事象について解析していく。また、臨床検体でのヒストンの経時変化を解析することで、治療介入に適したタイミングを図っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度には、ヒストンの中和作用が期待できる薬剤を精製し、in vitroでのヒストン中和活性が強いものを選択するところまで到達していた。平成28年度と29年度には、生体内(in vivo)でのヒストン中和作用を確認し、有効性と有害事象を評価することを計画していたが、平成28年度中にin vivoモデルを確立し、その評価系も確立できたため、平成29年度にはin vivoモデルを用いての候補薬剤の評価を、予定通り実施できると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度と29年度には、生体内(in vivo)でのヒストン中和作用を確認し、有効性と有害事象を評価することを計画していたが、平成28年度中にin vivo敗血症モデルを確立し、その評価系も確立できたため、平成29年度はこれらの敗血症モデルを用い、ヒストン中和活性の強い薬剤を選択するとともに、その有効性と有害事象について解析していく。また、臨床検体でのヒストンの経時変化を解析することで、治療介入に適したタイミングを図っていく。
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