2015 Fiscal Year Annual Research Report
多様な個人を前提とする政策評価型国民移転勘定の創成による少子高齢化対策の評価
Project/Area Number |
15H05692
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市村 英彦 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50401196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (50467263)
小川 直宏 日本大学, 経済学部, 名誉教授 (20139075)
奥村 綱雄 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (90323922)
川口 大司 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80346139)
清水谷 諭 公益財団法人世界平和研究所, 研究部, 研究員 (20377039)
|
Project Period (FY) |
2015 – 2019
|
Keywords | 少子高齢化 / 政策評価 / ノンバラメトリックス / セミパラメトリックス / 国民移転勘定 / 構造推定 / regresslon dlscontlnulty analysls |
Outline of Annual Research Achievements |
2015-2016年度には次のことを進めた : ・第五回「くらしと健康の調査」に向けてNTAとのリンクを意識した調査票の改訂 ・第四回までの「くらしと健康の調査」結果を調査対象市区町村で報告、また第五回調査実施に向けて協力の依頼、調査員トレーニング、及び第五回調査の開始 ・「仕事と家族」調査に向けて調査票の改訂及び海外での同様の調査との連携を進めた ・世代重複モデル開発に向けた理論的・技術的課題を明らかにし、年齢別需要関数・物価指数に作成するための基礎データの収集を開始し、期待形成の推定方法の新たな手法を考案した ・国民移転勘定を男女別・時間を含めて求めるため、全国消費実態調査・社会生活基礎調査利用準備を進め、日本全体を母集団とする為に国勢調査個票を用い、ウェート作成を開始した ・構造推定を行う為、21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児・平成22年出生児)21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者・平成24年成年者)、中高年者縦断調査、利用準備 ・「くらしと健康の調査」を用いて、引退後の健康投資、高齢者の労働可能性について研究した ・政策評価手法の一つであるregression discontinuity analysisを用いる際に必要となるband width選択に関する一連の研究及びsemiparametric分析の一般論に関する研究を行った
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初平成27年度の予定では : ①第5回くらしと健康の調査の実施、②NTAの時間移転についての推定の開始、③NTAを資産面から拡張する研究の開始、④新たな世代重複モデル開発について、理論的、技術的課題を明らかにする、⑤年齢別労働需要・物価指数について基礎データの収集を開始する、⑥高齢者の引退行動や出産適齢期の女性の労働供給、医療、介護の需要決定要因のミクロ実証分析を進める、⑦期待形成の推定手法について論点整理を行う、計画であった。これらのうち、第5回調査は7都市では予定通り終えたものの、3都市での実査はプログラミング開発の遅れにより28年度へと延期されたものの、その他の研究は概ね予定通り進んでいる。また、期待形成に関する研究、あるいは政策評価手法については予定より良い進捗をみた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度 : 18歳から40歳台にかけての調査をNTAへのリンクについて十分な検討を行った上で実施する。第5回JSTARのデータクリーニングを進め、NTAの時間移転に関する研究及び自立のタイミングに関する研究を完成させる。またNTA指標を男女・教育別に推計する研究及びNTAを世代別にみる研究を開始する。同時に新しい世代重複モデル及び財政モデルの開発に着手するとともに、年齢別労働需要、物価指数の基礎データのマッチングを行う。また、高齢者の引退行動及び出産適齢期の女性の労働供給の解明を通じてNTAの枠組みへどのように組み込むかについて具体的な提案の作成に入る。また日本の医療・介護制度と諸外国の違いも踏まえながら、例えば日本で経済規模に比べて医療費が低い理由を定量的に解析する。 平成29年度 : 第6回JSTARを実施する。第3回NSWFのデータのクリーニングを進める。また統計局で収集、集計が終了次第、2014年「全国消費実態調査」を使用して2014年版NTAを完成させる。 ここでは前年度までの成果を踏まえ、男女・教育別に、自立のタイミングを計算すると共に世代別のNTA研究を進める。この成果を用いてNSWF・JSTARに基づくより現実的な社会保障推計を政策やマスコミの場で公表する。また労働供給・引退行動の意思決定の解明を進め、NTAの枠組みへの組み込み方についての研究を進める。海外での応用可能性を視野に日本の経験の定量化を進め、国際比較研究を進める中で、医療制度と健康格差の観点から定量分析を公表する。新しい世代重複モデル、財政モデルのプロトタイプを完成させるとともに、その現実妥当性の吟味に入る。年齢別労働需要、物価指数についてもプロトタイプを完成させる。 以上の計画の進捗をみて、以降の計画を立てる。
|
Research Products
(82 results)