2018 Fiscal Year Annual Research Report
拡張テレスコープアレイ実験-最高エネルギー宇宙線で解明する近傍極限宇宙
Project/Area Number |
15H05693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐川 宏行 東京大学, 宇宙線研究所, 教授
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Project Period (FY) |
2015 – 2019
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Keywords | 宇宙線物理学 / 最高エネルギー宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究実績は以下のとおりである。 1)地表検出器の製作 平成30年度には、8月にTAの拡張(TAx4)用に25台のシンチレータ検出器本体の組み立てを山梨県にある宇宙線研究所明野観測所において行い、米国へ輸送した。また、11月と12月に韓国の成均館大学において30台のシンチレータ検出器本体の組み立てを行い、米国へ輸送した。米国ユタ州ミラード郡デルタ市にある宇宙線センター(CRC)において、地表検出器の最終組み立てを行い、CRCに仮置きした。以上の一連の作業と並行して、地表検出器の読出・通信回路の日本での調整および米国への輸出および検出器架台への搭載を行った。 2)TAx4サイトの設置作業の許可取得および検出器の設置および通信調整 土地管理局(BLM)とのTAx4のための土地使用および地表検出器の設置許可に関する交渉をユタ大学を通して行った。その際に、BLMから希少植物の調査の要求があったので、対象領域に対して調査を行った。2019年2月初めに設置の許可が下りて、2月11日よりCRCから北サイトの仮集積場へのトレーラーによる検出器の移動を行った。2月19日よりデルタ市の北側のTAx4サイトへの検出器の設置を行った。このために、5名からなる設置用チームを2チーム構成し、人員搬送用ヘリコプターで予め設置予定箇所に搬送し、検出器搬送用ヘリコプターで検出器を設置する際に、設置補助およびチェックを行った。北サイトへの設置と並行して、デルタ市の南側のTAx4サイトの仮集積場へのトレーラーによる検出器の移動を行った。3月前半までに南サイトへの検出器設置をヘリコプターを用いて行い、合計257台の検出器を設置した。 地表検出器のデータ収集のためには、長距離無線通信の確立が必要でり、通信塔の建設および通信設備・ソーラー電源設備の設置が必要であった。望遠鏡を運用していて新たな建設許可が不要なBlack Rockサイトの1か所の通信設備以外の5か所の通信塔建設に関しては3月前半までBLMからの許可が得られず、3月中旬から通信塔の建設および通信機器の設置を行った。地表検出器と通信塔の通信機器の通信確立のために、通信調整作業を行った。このために、ヘリコプターによって調整人員を移動させて3月後半まで検出器の通信用アンテナを通信塔に向けて通信を確認する調整作業を行った。 3月末にデータ収集システムを稼働させた。今後の推進方策のところで述べる通り、鳥獣保護期間の制約等があったので、作業は3月末程度まで行った。今後、データ通信のために詳細調整およびデータのモニター、データの確認、取得宇宙線デー夕の再構成をしていく。 3)現TA装置の運用を継続してデータ収集を行っている。「学会発表」で記述するように、既存のデータに新しいデータを加えた解析結果を国内外の学会で発表した。また、「雑誌論文」で記述があるように、超高エネルギー宇宙線の質量組成同定・スターバースト銀河との相関・エネルギースペクトルの異方性解析・ミューオン数の解析、超高エネルギー光子探索を行い、これらの結果を学術論文に発表した。スペクトルの異方性は3~4σの兆候を捉えた結果である。今後、TAx4でデータ量を増やし、その兆候等の確証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の申請時には、平成29年度に地表粒子検出器をTAx4に設置する予定であった。ただし、ユタ大学を通して、TAx4計画に係る環境アセスメントの書類を作成する過程で、遺跡および植物等に関する現地調査、設置箇所の所有者の確認、この地域に関わる将来の開発の可能性を含めた公聴会など、当初には必ずしも予想できなかった課題をクリアしていく必要があり、土地管理局(BLM)による設置許可が平成31年2月初めまで得られなかった。設置許可取得後、鳥獣保護期間が始まる3月も特別許可を得て、平成31年2月から3月に257台の地表検出器を設置し、一通りの通信調整を行った。 TAx4地表検出器製作費の高騰、TAx4の一環としてのTAの運用、TAx4に関わる調査費など、当初予想できなかった、あるいは、予定していた他の予算の獲得不足などのために、TAx4地表検出器の設置が257台になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には、2018年度末に設置した地表検出器を安定稼働させてデータ収集を行う。これまで、通信塔と各地表検出器の通信の初期調整をして。現在、部分的に稼働を確認している。今後、通信が不安定な検出器および通信が行われていない検出器の通信調整を行う。また、通信塔で収集した地表検出器からのデータは、通信塔の送受信機のリレーでデルタ市の宇宙線センターまで転送するが、その安定通信を確立するための調整をする。 各検出器からのデータの較正を行い、取得データとTAx4地表検出器用モンテカルロシミュレーションとの比較を行い、観測装置の性能を確認し、1年程度のデータで、TAx4地表検出器の性能評価および初期の物理結果を発表する。その後も、TAを含めたTAx4の設置済みの地表検出器を安定稼働させ、データ収集を継続する。また。韓国グループが獲得した予算などに応じて、今後、TAx4サイトに500台を目標としてSDを追加していく予定である。
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Research Products
(49 results)
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[Journal Article] Mass composition of ultra-high-energy cosmic rays with the Telescope Array Surface Detector Data2019
Author(s)
R. U. Abbasi, D. Ikeda, E. Kido, S. Ogio, S. Nagataki, H. Sagawa, T. Nonaka, M. Takeda, Y. Tsunesada, S. Udo, et al.
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Journal Title
Physical Review D
Volume: 99
Pages: 022002-1 022002-11
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Depth of Ultra High Energy Cosmic Ray Induced Air Shower Maxima Measured by the Telescope Array Black Rock and Long Ridge FADC Fluorescence Detectors and Surface Array in Hybrid Mode2018
Author(s)
R. U. Abbasi, D. Ikeda, E. Kido, S. Ogio, S. Nagataki, H. Sagawa, T. Nonaka, M. Takeda, Y. Tsunesada, S. Udo, et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 858
Pages: 76(27)
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Study of muons from ultrahigh energy cosmic ray air showers measured with the Telescope Array experiment2018
Author(s)
R. U. Abbasi, D. Ikeda, E. Kido, S. Ogio, S. Nagataki, H. Sagawa, T. Nonaka, M. Takeda, Y. Tsunesada, S. Udo, et al.
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Journal Title
Physical Review D
Volume: 98
Pages: 22002-1-22002-10
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Evidence of Intermediate-scale Energy Spectrum Anisotropy of Cosmic Rays E>10^<19.2> eV with the Telescope Array Surface Detector2018
Author(s)
R. U. Abbasi, D. Ikeda, E. Kido, S. Ogio, S. Nagataki, H. Sagawa, T. Nonaka, M. Takeda, Y. Tsunesada, S. Udo, et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 862
Pages: 91(6)
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Testing a Reported Correlation between Arrival Directions of Ultra-high-energy Cosmic Rays and a Flux Pattern from nearby Starburst Galaxies using Telescope Array Data2018
Author(s)
R. U. Abbasi, T. Fujii, D. Ikeda, K. Kawata, E. Kido, S. Ogio, S. Nagataki, H. Sagawa, T. Nonaka, M. Takeda, Y. Tsunesada, S. Udo, et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal Letters
Volume: 867
Pages: L27(5)
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Remarks]