2015 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒時間分解STMによる光誘起ダイナミックスのナノスケール分光
Project/Area Number |
15H05734
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
重川 秀実 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20134489)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 時間分解測定 / 長短パルスレーザー / 光誘起ダイナミックス / トンネル分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,スピンダイナミックスまで含めた時間分解STM測定を可能にしてきたが、トンネル電流として得られる信号は通常の光学的な測定に比べて非常に微弱であり、光強度が弱くなる励起波長での測定は困難で、これまで対象がGaAsを主とする材料に限られていた。そこで、多様な系を対象とした時間分解STM測定が可能になるよう新たな励起システムを構築し新しい物理を探索することを目的とした。まず,高強度レーザーを導入し,波長変換を行いながら時間分解測定が可能となる励起系の仕組みの開発を進めるとともに,時間分解STM測定に向けて,試料の電子構造の可視化などの予備実験を行った。研究対象の1つであるTMD(二次元遷移金属カルコゲナイド)について,合金であるMo1-xWxS2を試料とし,単層pn接合界面の内部電界の変調や,原子の置き換えによる電子状態の変化を原子レベルで可視化することに初めて成功した。同成果はNature系の雑誌であるScientific Reportsに掲載された。同実験を進める際,ポンプ光とプローブ光の両波長を制御することが極めて重要であることが明らかになった。これは他の系についても同様である。そこで次年度の計画としていた共振器内蔵型第二高調波発生器を前倒しで導入し,現有レーザーと組み合わせることで,新たな測定を可能にするシステムの構築を進めた。また,現有の多探針STMを整備し,時間分解測定を多探針で行う新しい試みの基礎データをとる為の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに,スピンダイナミックスまで含めた時間分解STM測定を可能にしてきたが、トンネル電流として得られる信号は通常の光学的な測定に比べて非常に微弱であり、光強度が格段に弱くなる励起波長での測定は困難で、対象がGaAsを主とする材料に限られていた。そこで、多様な系を対象とした時間分解STM測定が可能になるよう新しい励起システムを構築し新しい物理を探索することを目的とした。 初年度は,まず,高強度レーザーを導入し,波長変換を行いながら時間分解測定が可能となる励起系の仕組みの開発を進めるとともに,時間分解測定に向けて試料の電子構造の可視化などの予備実験を進めることとした。そうした中,研究対象の1つであるTMD(二次元遷移金属カルコゲナイド)試料に対し,ダイナミックス測定の為の準備が予定より速く進み,単層pn接合界面の内部電界の変調を原子レベルで可視化することに初めて成功した。同成果はNature系の雑誌であるScientific Reportsに掲載された。また,同実験を進める際,ポンプ光とプローブ光の両波長を制御することが極めて重要であることが明らかになった。これは他の系についても同様である。そこで次年度の計画としていた共振器内蔵型第二高調波発生器を前倒しで導入し,現有レーザーと組み合わせることで,新たな測定を可能にするシステムの開発が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に導入した波長可変レーザーシステムの構築・整備を進めるとともに,新しい変調方式等の開発と併せて時間分解測定を開始する。試料は幾つか予定しているが,例えば,TMD(二次元遷移金属カルコゲナイド)では,初年度,合金のバンド構造や単一原子による局所電子構造変調の可視化等,他手法での評価等を終えており,当初の単探針での測定に加え,多探針STMを新しい時間分解測定系に組み合わせることで,局所伝導のダイナミックス測定に挑戦する準備を進めている。ナノスケールで伝導特性を時間分解測定できるシステムは他には無く,異方性を含めた局所物性の動的な評価を可能にすることで,新しい世界が拓けるものと期待している。 得られた結果は,論文発表,国内外の会議で発表し,広く世に発信する。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] Optically Visible Phase Separation between Mott-Hubbard and Charge-Density-Wave Domains in a Pd-Br Chain Complex2016
Author(s)
Takefumi Yoshida, Shinya Takaishi, Hiroaki Iguchi, Hiroshi Okamoto, Hisaaki Tanaka, Shin-ichi Kuroda, Yuka Hosomi, Shoji Yoshida, Hidemi Shigekawa, Tatsuhiro Kojima, Hiroyoshi Ohtsu, Masaki Kawano, Brian K. Breedlove, Laurent Guerin, and Masahiro Yamashita
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Journal Title
Chemistry Select Communications
Volume: 2016, 2
Pages: 259-263
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 1H-1T’ phase transition and heterojunction formation in CVD-grown monolayer Mo1-xRexS22016
Author(s)
S. Mori, S. Sasaki, Y. Kobayashi, L. Zheng, S. Yoshida, T. Takeuchi, H. Shigekawa, K. Suenaga, Y. Maniwa, Y. Miyata
Organizer
第50回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
Place of Presentation
東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール, (東京都文京区)
Year and Date
2016-02-20 – 2016-02-22
Int'l Joint Research
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[Presentation] Optical pump-probe STM and its applications2015
Author(s)
H. Shigekawa
Organizer
The International Symposium on Recent Trends in Analysis Techniques for Functional Materials and Devices
Place of Presentation
Gingko-Hall, Osaka University, Osaka
Year and Date
2015-12-02 – 2015-12-04
Int'l Joint Research / Invited
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