2017 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced Trace Organic Compound Study in Planetary Materials: Development of High Sensitivity and High Resolution
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15H05749
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 九州大学, 理学研究院, 教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱瀬 健司 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10284522)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 惑星微量有機化合物 / 化学進化 / 炭素質隕石 / 超高分解能質量分析 / 多次元クロマトグラフィー / その場分析 / 化合物イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究申請時の計画とほとんど変更はなかった。炭素質隕石中に含まれる微量有機化合物を超高感度・超高分離・超高質量分解能・空間分布で研究する技術の開発と分析を行った。炭素質隕石の溶媒抽出物に含まれる微量有機化合物をエレクトロスプレーイオン化およびナノエレクトロスプレーイオン化で検討し、600種以上のCHNアルキル同族体化合物、および多くのCHNO同族体化合物を同定した。特にナノカラムを用いたナノエレクトロスプレーイオン化では50マイクロメートル程度の隕石1粒子で様々な有機分子の検出が可能であった。異なる種類の炭素質隕石(CMとCRタイプ)では有機化合物の分布が異なり、隕石母天体での酸化還元状況の違いが有機分子の反応過程に影響を及ぼしていることが判明した。隕石アミノ酸分析について、三次元クロマトグラフィーを開発して、数十マイクログラムの隕石試料で光学活性体(DL体)の分離・定量が今までにない精度・感度で可能となった。検討したα-アミノ酸では地球のタンパク性以外はラセミ体として存在した。脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)による隕石表面上の有機化合物のその場分析も順調に進行し、100%メタノールをイオン化スプレー溶媒として用いて、隕石表面のCHN化合物の可視化(イメージング)に成功した。異種の同族体化合物は隕石内の異なった場所に存在することが判明した。また、DESI分析前後において、隕石表面の変質が実体顕微鏡レベルでは見られなかった。これらの研究成果を国内外の学会で発表するとともに論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した研究実施項目を順調に実施できており、データも確実に得られているため。また、論文も確実に出版できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究申請時の計画と変更はなく、隕石などの惑星物質中に含まれる微量有機化合物を超高感度・超高分離・超高質量分解能・空間分布で研究する技術の開発を引き続き行う。高感度化・高分解能化に伴って、多くの未知の化合物が検出されるので、その構造解析が宇宙での化学進化を明らかにする上で必要となる。いかに微量の未知化合物を同定するかが問題であるが、今までの研究成果から化合物生成モデルも提案できたので、シミュレーション実験も合わせて同定を行いたい。また、その場分析によって、隕石中の有機化合物分布の不均一性が明らかになりつつあるので、鉱物との関わりについても実験および電子顕微鏡を用いる観察的手法も合わせて進めていきたい。
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Remarks |
本科学研究費補助金による研究センター
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Research Products
(29 results)