2018 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced Trace Organic Compound Study in Planetary Materials: Development of High Sensitivity and High Resolution
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15H05749
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 九州大学, 理学研究院, 教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱瀬 健司 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10284522)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 地球外有機化合物 / 超高質量分解能 / 高分離クロマトグラフィー / 高感度分析 / 化学進化 / その場分析 / 有機分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は新世代の分析技術を駆使または開発して、惑星物質中の有機化合物を極低バックグラウンド条件下で超高感度および超高分解能で解析することである。特に、地球外物質試料中に含まれる超微量有機化合物の化学構造の多様性を明らかにし、地球外有機化合物の生成メカニズムと化学進化を明らかにすることである。これら当初の研究目的からの変更はなかった。 本年度の研究成果として、異なるタイプの炭素質隕石を分析して、有機化合物の生成過程が母天体環境に支配されることを明らかにした。これは小惑星の進化過程で、有機物も進化していることを示し、小惑星からの地球への有機物の寄与を考える上で重要である。また、ナノLC分析による有機化合物検出の高感度化およびより少量試料での分析を検討した。小惑星探査などで得られる試料が少ない場合の分析法として必要である。さらに隕石の非破壊によるその場分析による有機分子イメージングを多種の隕石について行い、異なる分子種の存在状態と鉱物・無機元素との相関を解析した。また、鉱物の存在の有無で化学反応の進行が異なることを明らかにし、隕石中に存在する化合物は鉱物存在の場合に相当した。これは地球外の化学進化において有機分子と鉱物の相互作用が重要なことを示し、今後にそのメカニズムの解明が期待される。 はやぶさ2探査機が持ち帰る予定の小惑星リュウグウ試料を念頭におき、微量試料での有機化合物の分析について、本研究課題で開発した手法をどのように適用するかについて検討した。国際共同研究を組織する準備を行った。 研究進捗状況報告書を作成して評価を受けるとともに、来年度が研究計画の最終年度なので、研究成果を積極的に学会などで発表するとともに、論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を開始してから3年が経過し、研究進捗状況報告書を作成して評価を受けた。その評価はAであり、研究遂行は順調に推移している。新しく開発した手法で国内および国外との共同研究も実施しており、これから、更なる研究成果も期待できる。しかし、装置の使用状態が高いため、徐々に性能の劣化が見られ、メインテナンスに要する時間が多くなってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は当初の計画から変更はない。実施においては分析中の汚染を避けるために設置したクリーンルームの電気代が予定外であったが、それ以外は研究を遂行する上での大きな問題点はない。今後、更なる研究成果を得るため種々の地球外試料を分析・解析していく。化学進化課程をさらに解明するため、シミュレーション実験も必要である。はやぶさ2計画での小惑星リュウグウ試料分析を成功させるため、国際共同研究(アメリカ・ドイツ・フランス・日本)を推進する新たな研究申請を行う。また、研究計画の最終年度なので、研究成果をまとめるとともに学会発表および論文発表を積極的に行う。
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Research Products
(26 results)