2017 Fiscal Year Annual Research Report
超高精度光ナノグリッド基準と光絶対スケールコムの創出が拓く精密光計測フロンティア
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15H05759
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高 偉 東北大学, 工学研究科, 教授 (70270816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70606384)
陳 遠流 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90794058)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 超精密計測 / 生産工学 / 加工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,独自のマルチビーム干渉光学系と新たな偏光変調制御法の開発によって,高安定光ナノグリッド基準を高精度・高効率で製作できる2軸光干渉リソグラフィ加工システムを提案するとともに,ナノグリッド基準の平面度と2軸ピッチ誤差を評価用レーザ干渉形状測定機の誤差から分離して短時間で超高精度に評価する誤差分離型一括自律校正法を提案し,大面積に渡って高精度に保証した光ナノグリッド基準を活用して,多軸光計測法を創出することによって,超精密光計測学のフロンティアを拓くことを研究の目的としている. 本年度は,前年度までに構築した直交型2軸ロイドミラー干渉計の問題点を原理的に解決する,非直交型2軸ロイドミラー干渉計光学系を構築するとともに,これにより100mm×100mmの大面積領域にわたり2軸ナノグリッド定在波を生成できることを明らかにした.さらに,フォトレジスト露光・現像時間について最適化を試み,100mm×100mmサイズの大型ガラス基板上に塗布したフォトレジストに安定転写する手法の確立に成功した. また,前年度までに立ち上げた光ナノグリッド基準の自律校正システムを用いた大面積光ナノグリッド評価を試み,提案手法により100mm×100mm超の領域にわたりマイクロメートル級のナノグリッド基準を評価できることを実験的に明らかにした.なお,ナノグリッド基準評価に関連して,光周波数コムをベースとしたトレーサブルな格子ピッチ絶対校正手法も開発し,サブnm級の高精度格子ピッチ評価を実現している. さらに,精密光計測フロンティアのさらなる開拓に向け,研究遂行中に新たに生まれたアイディアをもとに,当初計画にない光周波数コム共焦点プローブ開発も推進し,従来手法では困難であった変位分解能30nmを,広測定レンジに渡って実現できることを理論的検討と試作光学系による実験で実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の項目に沿って研究を実施し,予定の項目をすべて完成し,設定した目標を達成している. マルチビーム干渉法と偏光変調制御法に立脚した2軸干渉グリッド定在波生成光学系構築については,当初検討していた直交型干渉計の原理的問題を明らかにするとともに,新たに非直交型2軸干渉計光学系を提案し,100mm四方の大面積光2軸ナノグリッド基準を一括で露光可能であることを実証している. 大面積光ナノグリッド基準の一括・高速自律校正システムの開発 については,当初の予定どおり干渉計の参照面誤差を分離評価する自律校正手法のシミュレーションによる妥当性検証,およびレーザ干渉形状測定機向けに構築した自律校正アルゴリズムをベースとした小面積XYスケール評価実験による原理検証を終え,100mm×100mm大面積XYスケールの平面度誤差,ピッチ誤差の絶対校正精度検証を実施してその有効性を理論的および実験的に明らかにしている. また,ナノグリッド基準の格子ピッチ評価について,光周波数コムをベースとしたトレーサブルな格子ピッチ絶対校正手法を新たに提案し,実験的に原理検証してサブnm級の高精度格子ピッチ評価の実現可能性を見出している.さらに,精密光計測フロンティアのさらなる開拓に向け,研究遂行中に新たに生まれたアイディアをもとに,当初計画にない光周波数コム共焦点プローブ開発も推進し,従来手法では困難であった変位分解能30nmを,広測定レンジ(40μm)に渡って実現できることを理論的検討と試作光学系による実験で実証している.
以上のように予定の項目をすべて完成し,設定した目標を達成するとともに,精密光計測フロンティアのさらなる開拓に向け,当初予定になかった項目についても理論的・実験的アプローチで検討を進めていることから,現在の進捗状況を「当初の計画以上に進展している」と自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定の実施計画のとおりに実施する予定である. 4年目となる平成30年度は,平成29年度までに安定生成を実現した大面積XYナノグリッド基準の,光絶対スケールコム光学系への適用を試みる.大面積XYナノグリッド基準面から反射されたフェムト秒レーザビームの0次と±1次光を利用することによって,光周波数コムを6自由度変位角度絶対スケールコムに変換させる光学系を設計する.複数のグリッド基準による大面積化に対応できるモザイク光学系も合わせて設計する.これに合わせて,光絶対スケールコム光学系の最適化を図る.ビームエキスパンダーにより受光素子上の光スポット径を調整して,適切なファブリペローエタロンの選択により光スポット群の間引き間隔を調整することで感度を最大化する.センサ用機械部品は低熱膨張材料を選び,信号処理に必要な高精度電子回路を作成する. また,精密光計測フロンティアのさらなる開拓,および多軸絶対光スケールコムの普及と産業応用展開を見据えて進めているファイバベース光周波数コム光源の開発についても検討を継続するとともに,新たに追加して検討を進めている光周波数コム共焦点プローブも開発を継続し,3次元プロファイルの高精度迅速計測実現の可能性を模索する.
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Research Products
(40 results)