2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H05774
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮園 浩平 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90209908)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / 細胞医化学 / がん微小環境 / がん幹細胞 / ゲノム科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)TGF-β-Smadのダイナミックな転写調節機構の解明:TGF-βとRasがん遺伝子の協調作用とp53ファミリー(p53とp63)との関連を中心に明らかにした。p53に遺伝子変異を有するヒト表皮細胞を用いてp63の2つのスプラインシングアイソフォームの一つのΔNp63のDNA結合パターンをChIP-seq法などで解析した。活性型RasとTGF-βシグナルの存在下では変異型p53がユビキチンープロテアソーム経路で分解され、その結果ΔNp63の結合部位が増加することが明らかとなった。 (2)TGF-βによるEMTの調節機構と多彩な表現型の解析:乳がん細胞株MDA-231-DなどでZEB1の転写制御機構を網羅的に明らかにした。ZEB1はこれまで知られていた標的遺伝子に加えて、炎症関連遺伝子群の発現を制御すること(ZEB1関連分泌、ZEB1-SP)を見出した。ZEB1-SPのがん進展における関与を明らかにするためマウス乳がん細胞4T1を用いて検討したところ、ZEB1過剰発現により転移を促進する細胞群が腫瘍に集積していることが観察された。 RNAの選択的スプライシングに関わるタンパク質ESRPはEMTに大きな影響を与える。腎臓がん細胞ではESRP2が発現しており、ESRP2の標的遺伝子の発現パターンがユビキチンリガーゼArkadiaの発現と相関していることが明らかとなった。ArkadiaはESRP2と結合してESRP2をユビキチン化し、協調して腎臓がん細胞の増殖を抑制した。 (3)がんの浸潤・転移を促進するTGF-βの多彩な作用の解明:肺腺がんで新たに同定したTGF-β標的遺伝子Tuft1とRBM47の機能解析を行った。RBM47は転写因子Nrf2の作用を介して、酸素消費量やがん幹細胞の割合、マウスモデルでの腫瘍増大速度を制御していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い研究を順調に推進している。いくつかの興味深い成果が得られ、英文原著論文を発表または投稿準備中である。平成27年度はZEB1標的遺伝子の同定と機能解析の結果、当初の予想に反し、ZEB1関連分泌現象(ZEB1-SP)という炎症・免疫関連分子の分泌を誘導する現象が明らかとなったことから研究費の繰越を行なったが、その後研究は順調に進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って順調に研究が進行している。引き続き、計画に沿って研究を行う予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Integrated nanotechnology platform for tumor-targeted multimodal imaging and therapeutic cargo release2016
Author(s)
Hosoya H, Dobroff AS, Driessen WH, Cristini V, Brinker LM, Staquicini FI, Cardo-Vila M, D'Angelo S, Ferrara F, Proneth B, Lin YS, Dunphy DR, Dogra P, Melancon MP, Stafford RJ, Miyazono K, Gelovani JG, Kataoka K, Brinker CJ, Sidman RL, Arap W, Pasqualini R.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 113
Pages: 1877-1882
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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