Outline of Annual Research Achievements |
チャネルを中心とする6種類の膜タンパク質の構造生理学研究を総合的に進めて、1課題を除き所期の目的通りかそれ以上の成果を得た。単粒子解析法を用いてギャップ結合の構造を解析し(JMB, 428, 2265-74, 2016, Nature Comms. 7, 13681, 2016)、脂質膜内での構造も解析して、脂質2重膜がチャネルを閉じてその上部にN末端が押し上げられた構造を明らかにした(Sci. Adv. 6, 3157, 2020)。これらの結果は、脂質分子が寄与するgating機構を想起させる。脳の主要な水チャネルであるAQP4は脳浮腫と関わるので、阻害剤開発を目指した構造解析に成功した(Microscopy 65, 177-84, 2016)。電位感受性Na+チャネルの研究(FEBS Letters 592, 274-83, 2018)とともに、バクテリア由来のCa2+チャネルを初めて発見した(eLife, 9, 52825, 2020)。H+,K+-ATPaseと胃薬との複合体の構造解析を行い(Nature, 556, 214-8, 2018)、H+の100万倍の濃度勾配形成の分子機構を解明した(eLife, 8, 47701, 2020)。クローディンと毒素のC末端ドメインとの複合体の構造解析(Science 347, 775-8, 2015)をさらに進めて、タイト結合の性質を決める重要な因子を解明した(Nature Comms. 10, 816, 2019)。なお、アセチルコリン受容体では十分な成果が得られなかったが、エンドセリン受容体の構造解析に成功した(Nature 537, 363-8, 2016, JMB, 428, 1227-36, 2016, Nature Struct. Molec. Biol. 24, 758-64, 2017)。
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