2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular understanding of rice-Magnaporthe interactions
Project/Area Number |
15H05779
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺内 良平 京都大学, 農学研究科, 教授 (50236981)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 恒喜 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 園芸資源研究部, 主任研究員 (30626510)
竹田 匠 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 主任研究員 (80423036)
清水 元樹 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 研究員 (90734343)
|
Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 共進化 / 植物-病原菌 / 抵抗性 / イネ / いもち病菌 / 耐病性分子機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. いもち病菌AVR-PikがイネのsHMAタンパク質群に結合し、後者を安定化すること、sHMAタンパク質はイネのROS制御に関わる可能性が高く、AVR-Pikがこの過程を操作している可能性が高いことを確認した。さらにAVR-PikとsHMAの結合結晶構造を、英国研究者と共同で解明した。これらの研究結果は論文準備中である。 2. Pik-1/AVR-Pikの物理的結合の解析については、英国研究者と共同でPik-1とAVR-Pikのそれぞれ異なる対立遺伝子産物同士の結合結晶構造を明らかにし、Pik-1によるAVR-Pikの結合特異性の分子基盤を明らかにした(De la Concepcion et al. Nature Plants 2018)。構造情報に基づき、AVR-Pikのほとんどの対立遺伝子産物を認識可能な人工抵抗性タンパク質遺伝子設計に成功した。 3. AVR-PiiがイネのExo70タンパク質OsExo70-F3に結合することを以前に示した。OsExo70-F3は、イネ抵抗性タンパク質Pii-2のIntegrated DomainであるNOI配列に結合する。2018年度は、Pii-1、Pii-2、OsExo70-F3, AVR-Pii相互作用について解析を進めた。 4. 新規に単離同定したイネNB―LRR型抵抗性遺伝子Piasについて詳細な解析を進めた。Piasは、Pias-1とPias-2が対で機能する。Piasに認識されるいもち病菌非病原力因子AVR-Pias単離にも成功した。今年度は、Pias-1、Pias-2、AVR-Piasの相互作用および抵抗性誘導機構、Pias-1/Pias-2の進化解析を実施した。これらの成果は投稿準備中である。 5. S-geneとして知られるイネpi21の新規対立遺伝子について解析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネ抵抗性タンパク質Pikといもち病菌タンパク質AVR-Pikの相互作用について、両者の結合結晶構造が明らかとなり、これらのタンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子間の認識特異性を分子構造レベルで解明することに成功した。本成果は、植物ー病原菌間で知られる「遺伝子対遺伝子説」の分子基盤について新知見をもたらす研究成果である。さらに新規イネ抵抗性遺伝子Piasといもち病菌AVR-Pias相互作用について解析が進み、抵抗性タンパク質の進化と機能について重要な知見が得られつつある。いもち病菌非病原力因子AVR-PiaとAVR-PikはイネsHMAタンパク質を標的とし、AVR-Piiは、Exo70を標的とすることが示されたが、これらの標的タンパク質の機能解明は途上である。全般的にみて、研究は概ね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本課題で新規に単離同定したイネPias抵抗性タンパク質といもち病菌非病原力因子AVR-Piasの相互作用について詳細な解析を進める。この情報に基づき、様々な非病原力因子を認識可能な人工抵抗性タンパク質設計が実現する可能性がある。さらにAVR-Pia、AVR-Pikが結合するイネsHMAタンパク質、AVR-Piiが結合するイネExo70タンパク質の機能解明を進める。得られた研究成果を論文公表する。
|
Research Products
(3 results)