2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel strategy for life style disease through exploration of the roles of mineral- and gluco-corticoids in hypertension and organ dysfunction
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15H05788
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (10114125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸茂 丈史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (70265817)
西本 光宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (90646572)
河原崎 和歌子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (50424594)
鮎澤 信宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50459517)
広浜 大五郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (20749353)
柴田 茂 帝京大学, 医学部, 教授 (60508068)
下澤 達雄 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (90231365)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 鉱質コルチコイド / 糖質コルチコイド / DOHaD / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は鉱質・糖質コルチコイド、その受容体MR, GR、および下流の活性化に焦点をあて、高血圧と慢性腎臓病の新たな治療標的の解明を目的にしている。 胎児期と、生まれた直後に経験した低栄養の環境は、発育してから生活習慣病の発症につながることがDevelopmental Origins of Health and Disease (DOHaD)として知られている。DOHaDには糖質コルチコイド以下のシグナルの過剰刺激が関わることが提唱されているが、その後のシグナルは不明である。妊娠中の低栄養により胎盤の糖質コルチコイド代謝酵素である11betaHSD2が減少するため、胎児に過剰な糖質コルチコイドが移行する。過剰な糖質コルチコイドによる刺激が記憶に残り、後年の高血圧発症に関わる機序に、エピジェネティック異常が関わる可能性が考えられ検討した。DOHaDモデルで生まれた子供の血圧中枢では、アンジオテンシン受容体が脱メチル化しているために過剰に発現が上昇し、高血圧の原因となっていることが明らかになった(JCI Insight 2018)。 尿細管間在細胞ではMR活性化はリン酸化によって調節されている。今年度の研究により、MR S843-Pのリン酸化にはULK1が関与することが明らかになった(Cell Rep 2018)。間在細胞のMRの下流にはペンドリンが存在し血圧調節に関わるが、間在細胞特異的MR欠損マウスを用いた検討により、MRの関与の度合いは病態によって異なることが明らかになった。また、以前報告したEVALUATE試験の事後解析で304名の非糖尿病高血圧患者では、食塩の過剰摂取がMRの活性化を生じてレニンアンジオテンシン系抑制薬に抵抗性を生じている可能性について報告した(Hypertens Res 2018) さらに加齢による食塩感受性高血圧の発症機序を明らかにした。既に、加齢マウスを用いて、抗老化因子Klotho遺伝子の減少が血管のWnt-RhoA系路の活性化を介して、腎血管収縮により食塩感受性高血圧を生じる一連の研究を終えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究で高血圧の発症前の未病段階での糖質コルチコイドが経路の活性化の関与をエピジェネティックな観点から明らかにすることができ、現在は腎臓レベルでの検討も進めている。さらに、尿細管間在細胞でのMRリン酸化酵素の同定とともに、これまでに作出した腎臓特異的なMRおよび関連遺伝子の遺伝子改変マウスの解析を進めた。基礎研究の結果とともに臨床研究でも食塩過剰摂取にMR活性化を示唆する結果を報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作出した間在細胞特異的MR KOマウスを用いて、間在細胞ベータ細胞に発現するペンドリン調節と役割について新知見が得られており、これを論文化する。さらに今年度までに開発した進行性の糖尿病モデルを用いてMR活性化と新たな治療標的についての検討を進めている。なお、加齢に伴うMR関連刺激による高血圧の分子機構を、腎臓と抵抗血管について論文化する予定である。
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Research Products
(26 results)