2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel anti-aging strategy by elucidating the mechanisms regulating aging through a muscle centric organ network
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15H05789
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 浩二郎 東京大学, 医学部附属病院, 客員研究員 (00396714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 直樹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (80750728)
笹子 敬洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20550429)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 老化 / シグナル伝達 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
mAktDKOマウスが骨格筋量を含む表現型を呈する分子メカニズムとして、Aktの下流でFoxOの経路が制御しているのか、mTORC1の経路が関与しているのかを引き続き検討するため、骨格筋特異的Akt1/2 FoxO1/4欠損マウス(m4KOマウス)と、同Akt1/2 TSC2欠損マウス(m3KOマウス)の解析を進めた。mAktDKOマウスで認めた骨格筋量減少、運動機能低下、骨量減少、全身のインスリン抵抗性などの表現型のうち、前三者はm4KOマウスでは対照マウスと同等にまで回復したが、m4KOマウス全身のインスリン感受性は、半分程度の回復にとどまった。これは骨格筋量が回復した一方で、インスリン依存性糖取り込みが障害されたままである可能性が想定された。更に全身の老化を考える上で個体寿命を追跡しているが、m4KOマウスでは明らかな寿命短縮を認めず、またmAktDKOマウスで好発した衰弱死も殆ど見られていない。 一方m3KOマウスではm4KOマウスと異なり、骨格筋量減少を引き続き認めたが、筋力は部分的に、持久力はほぼ完全に回復していた。また骨量減少を引き続き認めたことから、m4KOマウスとm3KOマウスの比較からも、本研究で探索している骨格筋から分泌される骨芽細胞活性化因子は、mTORC1でなくFoxOの下流にあるものと考えられた。 また高脂肪食負荷mAktDKOマウスはサルコペニア肥満のモデルと期待されるが、負荷40週時点で解析したところ、普通食下と同様に骨格筋量減少、運動機能低下、全身のインスリン抵抗性、骨量減少の表現型を認めた。加えて精巣周囲脂肪重量の増加を認め、骨格筋と脂肪組織間の相互作用の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mAkt/TSC2 KOマウスを樹立し、その表現型を解析することで、mAkt KOマウスやmAkt/Foxo KOマウスの表現型との比較が可能となった。これにより、骨格筋におけるAktの下流分子としては、主にFoxOが重要であることが確かめられ、またサルコペニアと骨粗鬆症との間を関連づける分泌因子も、FoxOの下流にある可能性が強まった。一方で、mAkt KOマウスの様々な表現型のうち、一部についてはmTORC1経路の関与も示唆された。 更にmAktDKOマウスに高脂肪食負荷を行なうことで、骨格筋と脂肪組織間の相互作用の存在が示唆され、サルコペニア肥満の病態解明に関しても新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
mAktDKOマウスを用いてサルコペニアの病態について、これまで得られた知見を基に、骨格筋を中心とした臓器間ネットワークを、主に分泌因子が担うとの仮説に立ち、更なる解析を進める。特に絞り込みを行なった重要なmyokine候補について、実際にヒトの検体を用いて、臨床情報との照らし合わせを行なう。 各々の候補分子に関して、必要であれば測定系を開発し、その上で特にサルコペニアや、サルコペニアに合併した骨粗鬆症との関連を検討し、良い相関を示すものの絞り込みを更に進める。 この過程で有望と思われたものについては、モデルマウスや培養細胞系に立ち返り、リコンビナント蛋白の投与ないし添加実験などにより、その分子機序を検証する。またmyokineの受け手側において、活性化または抑制を受けるような重要な経路が同定されれば、その欠損モデルを作製することでより詳細な分子メカニズムを明らかにすることもできると期待される。 またAktの下流の鍵分子として、骨格筋や骨の老化に関しては、転写因子FoxO1/4が重要であることが示されつつあるが、個体レベルでの老化についてはまだ明らかでない。そこでmAkt/FoxO KOマウスを長期間飼育・追跡し、その生存期間の観察と死因の解析を継続する。 このように骨格筋におけるFoxO活性を阻害することが、サルコペニアやその合併症の抑制に重要であり、創薬の対象となることが期待される。そこで本学のケミカルライブラリーイニシアチブのライブラリーを用いたスクリーニングを行ない、既知のFoxO阻害薬とも比較しながら、その有効性、並びに安全性について、培養細胞系、加齢野生型マウス、及びモデルマウスにおける評価を行なう。 以上により、サルコペニアの更なる病態解明と共に、サルコペニアの早期診断バイオマーカーや、治療薬の創薬シーズとなることを目指して、残る期間で研究を推進していく方針である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Hepatic Sdf2l1 controls feeding-induced ER stress and regulates metabolism2019
Author(s)
Sasako T, Ohsugi M, Kubota N, Itoh S, Okazaki Y, Terai A, Kubota T, Yamashita S, Nakatsukasa K, Kamura T, Iwayama K, Tokuyama K, Kiyonari H, Furuta Y, Shibahara J, Fukayama M, Enooku K, Okushin K, Tsutsumi T, Tateishi R, Tobe K, Asahara H, Koike K, Kadowaki T, Ueki K
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 10
Pages: 947
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The RNA Methyltransferase Complex of WTAP, METTL3, and METTL14 Regulates Mitotic Clonal Expansion in Adipogenesis2018
Author(s)
Kobayashi M, Ohsugi M, Sasako T, Awazawa M, Umehara T, Iwane A, Kobayashi N, Okazaki Y, Kubota N, Suzuki R, Waki H, Horiuchi K, Hamakubo T, Kodama T, Aoe S, Tobe K, Kadowaki T, Ueki K
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Journal Title
Molecular and Cellular Biology
Volume: 38
Pages: e00116-18
DOI
Peer Reviewed
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