Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播本 憲史 九州大学, 大学病院, 助教 (00419582)
原田 結 九州大学, 薬学研究院, 助教 (00608507)
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20240905)
赤星 朋比古 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20336019)
松本 拓也 九州大学, 大学病院, 講師 (20374168)
北尾 洋之 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30368617)
吉野 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40281547)
米満 吉和 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40315065)
池田 哲夫 九州大学, 大学病院, 准教授 (60585701)
調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
相島 慎一 佐賀大学, 医学部, 教授 (70346774)
武冨 紹信 北海道大学, 医学研究科, 教授 (70363364)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
内山 秀昭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70380425)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
佐伯 浩司 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80325448)
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80363373)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
岡本 龍郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80568626)
庄司 文裕 九州大学, 大学病院, 助教 (90444851)
飯森 真人 九州大学, 医学研究院, 助教 (20546460)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 助教 (90382423)
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Outline of Annual Research Achievements |
1)sphere形成阻害物質の網羅的探索およびsphere形成によって変化する遺伝子の解析 難治化のメカニズムの一つである3次元形態的特徴をin vitroで再現したSphereの形成阻害・破壊を指標とした化合物スクリーニングのシステムを構築し、3D培養法でのスクリーニングを実施した結果、MEK阻害剤が得られた。Raf/Mek pathwayに関連する分子の阻害剤単独又は併用によるspheroid形成阻害効果について検討中である。 2)網羅的手法によるがん幹細胞維持に必用な分子の同定 抗がん剤耐性メカニズムの一つにがん幹細胞の存在が示唆されている。大腸癌の手術検体から樹立されたがん幹細胞をイリノテカン処理すると、特徴的な細胞のクラスターを形成し、薬剤耐性を示すことから、クラスター形成に特徴的な分子を同定するため、マイクロアレイ解析を行った。特に、pathway解析で関連因子の発現変化が多く見られた細胞外マトリックス因子に注目し、阻害剤やsiRNAを用いて、抗がん剤感受性、クラスター形成阻害等の評価を行っている。 3)Side population分画に濃縮される細胞の解析 がん幹細胞を分離・濃縮するSide population分画法を用いて、イリノテカン処理(約2週間)した細胞をSide population分画とそれ以外の分画に分けたところ、Side populationに分画される細胞集団はほんの数%であった。各々の分画をマイクロアレイにより網羅的に解析し、Side population分画の細胞に特異的に発現する分子をピックアップした。マイクロアレイで得られた結果をqPCR法にて順次確認中である。Side population分画の細胞は少数しか存在しないため、タンパクの発現については、免疫染色法(IHC, ICC, IF)により発現の確認を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)sphere形成阻害物質の網羅的探索およびsphere形成によって変化する遺伝子の解析 MEK阻害剤は一般的にfeedbackが起こることが知られている事から、更なるspheroid形成阻害の探索のため、Raf/Mek pathway関連分子の阻害剤との併用について検討している。またsphere形成によって変化する遺伝子のdataから、Raf/Mek pathway以外の新規ターゲット(pathway)についても解析中である。 2)網羅的手法によるがん幹細胞維持に必用な分子の同定 イリノテカン処理した細胞の発現変化をマイクロアレイにて網羅的に解析した。特に、pathway解析で関連因子の発現変化が多く見られた細胞外マトリックス因子に注目し、阻害剤やsiRNAを用いて、抗がん剤感受性、クラスター形成阻害等の評価を行っている。また、イリノテカン処理により薬剤耐性クラスターを形成する事から、sphere形成と共通する分子の探索も考慮している。 3)Side population分画に濃縮される細胞の解析 がん幹細胞を分離・濃縮するSide population分画法を用いて、イリノテカン処理した細胞をSide population分画とそれ以外の分画に分け、各々の分画をマイクロアレイにより網羅的に解析し、Side population分画の細胞に特異的に発現する分子をピックアップした。BCRP、MDR等のABC transporterも含まれており、実験系としてワークしている事も確認できた。マイクロアレイで得られた結果をqPCR法、免疫染色法(IHC, ICC, IF)によりにて順次確認中である。がん幹細胞やニッチの機能に重要な分子の同定だけでなく、薬剤抵抗性を示す細胞の中でも更にSide populationに分画される特殊な細胞を選別するマーカーの探索にもつなげたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Sphere形成後の変化とがん幹細胞の関係についての解析 1)下流シグナル伝達についての解析:同定された候補分子について、シグナル伝達経路と発現遺伝子変化、形態学的変化について解析を行う。 2)ジェネティック、エピジェネティックな変化についての解析:Sphere形成後のジェネティック、エピジェネティックな変化についてはこれまで全く検討されていない。既にsphereについてのハイスループット検出系の構築は終了している。次世代シークエンスによって遺伝子変異やメチレーションの変化についても解析を行う。 3)上記mRNA, miRNAの機能解析:既に同定している5種のmRNA, 3種類のmiRNAを各種ヒトのがん細胞株にトランスフェクションを行い、コントロールと比較し、がん幹細胞の形質を獲得しているかどうかを検討する。 4)上記mRNA、miRNA恒常的発現細胞株の造腫瘍能についての検討:同定した5種類のmRNA 、3種類のmiRNAのなかで最もがん幹細胞性をもつものを対象として、in vivoでの検討を行う。細胞株に上記発現プラスミドを導入し、薬剤選択によって恒常的発現細胞株を作成する。これらの細胞株を1, 10, 100, 1000, 10000個ずつ背部に移植し、造腫瘍能について検討を行う。遺伝子導入株が幹細胞性を獲得していれば、少ない腫瘍の投与で背部腫瘍を形成することが可能であると考えられる。 5)皮下腫瘍モデルに対するデコイの投与:野生型の腫瘍をマウスの背部に投与し、一定サイズの腫瘍になったのちに、標的となるmRNA、miRNAに相補的な配列をもつ核酸を投与する。投与経路は静脈注射、腹腔内注射、腫瘍局所注入などの経路を想定している。投与量、投与回数についても最適化を行う。コントロールとしてscrambleや既存の抗がん剤治療を用いる。同時に、化学療法との併用効果なども検討する。
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