2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H05986
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿知良 洋平 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 専門研究員 (00754722)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 平和的生存権 / 生活 / 自然 / 葛藤 / 実践 / いのち / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
応募準備段階において、平和的生存権思想のメルクマークとなる裁判闘争における平和学習の論理について検討した。当時の裁判闘争の運動資料等にあたり、運動に関わった人々が当時何を根拠にして平和の価値を主張していたのかを分析した。 その結果、生活の問題、自然との関わり、からだの感覚といった、人間と自然との関わりを含んだ生活の側面に平和を主張する根拠を持っていたのではないかとの結果に至った。この観点から高度経済成長期に、主たる側面としては学生運動・政治運動として展開してきた平和運動の在り様に疑問を投げかけてきた女性史の主張や思想も、からだや自然を含めて平和の価値をつかんでいくような学習を検討するには考察の対象にする必要があると考えた。 女性史は、政治運動が主張しがちな、正解が自分達の側にあるという言説の抽象性を暴き、運動の側にだって、日々の暮らしをみれば権力側の論理が内面化されたような、平和とはとても呼べない矛盾的な状況があるじゃないかという、生活のリアルな側面を課題化した。そしてそれを含んで平和なるものがいかに主張できるのかを追究した。 以上の思想的基盤の検討とともに、日々の生活を営むなかで平和の価値をからだ全体でつかんでいくような学習実践の現地調査を実施した。そこでは、人間のからだとまわりの自然との関係を栄養・物質の循環を、対立を含みつつも、人間の介入の仕方如何によっては、人間の生活を成り立たせてくれる共存可能なものとして把握し、その自然と向き合う実践的な覚悟が、いのちというものの尊さ、あるいは戦争という理不尽なものの非合理性を確固として掴む基盤になっていることがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究、実地調査ともに計画していた程度は進行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
調査をすすめるとともに、調査で得られた内容に内在的な論理の発見、分析につとめる。
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Research Products
(2 results)