2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有賀 雅奈 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教育研究支援者 (40756623)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | Representation / scientific visualization / diagram / biology / data visualization |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、科学論文における議論のあり方がメディアや実験技術、表現技術の変化に伴いどのように変遷してきたのかを明らかにし、科学実践を理解することである。そのために1970年代以降の科学ジャーナルの図の分類枠組を構築し、分析を行っている。 平成27年度においては、図のデータベース化と先行的な分類作業を行った。ジャーナル『CELL』について、エルゼビア社、セルプレス社に許可を得た上で、記事を収集すると同時に、全巻の記事の著者名やタイトル、頁数、分類などを整理したデータベースを作成した。また、新たな科学の図の分類方法を確立するため、先行的にジャーナル全163巻(2015年12月発行まで。各巻につき、4~7の号が含まれる)のうち、10巻おきに10のオリジナルリサーチの記事を抽出し、その中の図を取り出して階層的なグルーピングを行った。グルーピングの結果、最も大きな階層レベルとして、データ(結果)を表示するための図と、概念や仮説、手順などを説明のための図に分けられた。その下位に、例えば棒グラフ、DNA配列図、タンパク質の3DCGモデル図、あるいは矢印と要素をつないだチャートなどのグループ分けがなされた。またグルーピングの過程で、ひとつのFigureの中にグラフと写真など複数の図が含まれることがあり、一枚の図とは何かを定義する作業も行った。 これまでの科学の図の分類の研究では、概念的に分類するか、あるいは教科書1冊のみを対象にするなど少数を対象にしていることが多い。また、科学ジャーナル全体としてどのような図が使われているのかという全体的な視点からの検討はされてこなかったため、個々の図の研究を全体的な傾向の中に位置づけることが難しかった。本研究では数千という大量の図に基づいて分類を行っており、科学論の図研究のベースとなる資料を提供するユニークで意義のある研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究に当たっては、出版社の許可を得るのにひと月以上を要し、その間研究を停止した。このため、分類枠構築が4月にずれ込んだものの、大まかには予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画どおり、図の分類枠を確定させ、さらに多くの図を分類する予定である。また、分類結果を踏まえて、技術やメディアとの関連の考察を進める。
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