2015 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア都市における非正規雇用の人口移動メカニズム研究
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15H06019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 慈郎 東北大学, 文学研究科, 助教 (10757959)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 都市社会学 / インドネシア研究 / 人口移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非正規雇用に着目し、東南アジア首都の人口移動メカニズムを解明することにある。東南アジア諸国の首都郊外では、多国籍企業の工場進出が相次ぎ、日々新しい労働力が供給され、日本をはじめ先進国に向けた工業製品の生産が行われている。しかしながら、分析枠組みとデータの制約から、先行研究は首都郊外への人口移動が起こるメカニズムを明らかにできていない。本研究では、インドネシア首都ジャカルタを事例に、2010年代よりインドネシアの労働問題の中心となっている非正規労働者に着目する。具体的には、国際的な今日体制の変化に関する議論をインドネシアの雇用政策と照らし合わせながら援用し、質問紙調査とライフヒストリー調査によって非正規雇用労働者が首都郊外に流入するメカニズムを描き出す。
本年度は、非正規雇用に対する国際的形成過程の理論研究とインドネシアにおける非正規雇用形成過程の分析を行った。とりわけ国際的なアウトソーシングの発展とインドネシア国内での展開について概観した。本研究において、労働移住大臣規定2012年第19号「他社への一部業務の委託条件に関する規定」によるアウトシーシングの規制の影響はきわめて重要であり、この影響を踏まえた質問紙を作成し、個別訪問調査を行う必要がある。進捗状況が当初よりも遅れているという問題はあるが、質問紙の作成に関しては、インドネシア大学社会政治学部と協力しつつこの点を盛り込み調査の設計を行っている。
また、調査許可に関しても、すでにインドネシア研究技術省の会議を通過しており、発行手続きに入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はインドネシアにおける非正規雇用形成過程の資料研究を予定していた。その際、インドネシア大学の客員研究員として、図書館を利用する予定であった。しかし、手続きに遅延があったことと、1月にジャカルタで起きたテロの状況についてインドネシア側の研究協力者と見極めながらスケジュールを計画したことにより、今年度は資料収集のみで分析が終了しなかった。平成28年度のはじめには分析を終える予定である。
また、調査票については、印刷まで終えることはできなかったものの、すでに細かいワーディングの調整段階に入っており、平成28年度はじめに印刷を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、質問紙を用いた戸別訪問調査の実施・分析を行う。現在は、8月に調査を行う予定で、インドネシア政府からの調査許可プロセスを進め、現地のプレジデント大学とも調整している。対象者のサンプリングは、調査許可を踏まえ、現地大学と協議する予定である。調査員の学生アルバイトも、すでにおおかた手配を済ませている。
8月に戸別訪問調査を実施し、9月以降にデータのクリーニング、集計を行う。10月以降に分析を実施する。
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Research Products
(1 results)