2015 Fiscal Year Annual Research Report
FABP3 リガンドを用いた新しいパーキンソン病治療の創製
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15H06036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢吹 悌 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70756121)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / FABP3 / α-シヌクレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成 27 年度は、1)α-シヌクレインおよび FABP3 を共発現させた PC12 細胞を用い、免疫ブロット法および免疫組織化学染色法により、FABP3 合成リガンド (3 種類) および非親和性化合物 (1 種類) のα-シヌクレイン多量体形成阻害作用および細胞保護作用について評価すること、2)4 種類の化合物を MPTP 投与マウスに投与し、運動機能障害に対する改善効果について行動薬理学的手法、免疫ブロット法により明らかにすることを目的とした。PC12 細胞を用いた実験では全ての FABP3 合成リガンドにより α-シヌクレインオリゴマー形成が抑制されることを確認した。さらに、合成リガンドの中で最もα-シヌクレインオリゴマー形成阻害効果が強いリガンド1を同定した。一方、MPTP 投与マウスの実験では FABP3 合成リガンド投与により運動機能障害が改善された。また、ドパミン神経保護作用を示した。 平成 27 年度は、第一著者論文を 1 報、第三著者論文を 1 報を英科学誌に報告した。また、3 つの国内学会および 2 つの国際学会で研究成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)In vitro 系における FABP3 合成リガンドのα-シヌクレイン多量体形成阻害作用および細胞保護作用について評価 本研究では α-シヌクレインおよび FABP3 の共発現系を用いFABP3 合成リガンドによるα-シヌクレインオリゴマー形成抑制効果を検討した。それぞれのリガンド 10 μM を前処置すると、MPP+ が引き起こす α-シヌクレインオリゴマー形成が抑制された。この抑制効果は FABP3 との親和性が非常に高いリガンド1において特に顕著であった。非親和性リガンドではα-シヌクレインオリゴマー形成は抑制されなかった。FABP3 合成リガンド前処置により、MPP+ 処置による細胞死が抑制された。 2)MPTP 投与マウスに対する FABP3 合成リガンド投与による改善効果の検討 上記実験において、最もα-シヌクレインオリゴマー形成抑制効果が強かったリガンド1がMPTP 投与マウスの運動機能障害を改善するか検討した。MPTP (25 mg/kg, i.p.) を一日一回五日間連続投与後、リガンド1 (0.1, 0.3 or 1.0 mg/kg, p.o.)または非親和性リガンド(1.0 mg/kg, p.o.)を一日一回二週間投与した。運動機能をローターロッド試験およびビームウォーキング試験により評価したところ、MPTP 投与マウスにおける運動機能障害がリガンド1(0.3 or 1.0 mg/kg, p.o.)投与により有意に改善した。また、リガンド1(0.3 or 1.0 mg/kg, p.o.)は黒質ドパミン神経細胞死を抑制した。一方、非親和性リガンド投与ではこれら改善効果はみられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はα-シヌクレインおよび FABP3 の共発現系においてアラキドン酸または DHA 処置、MPP+ およびアラキドン酸または DHA 処置に対する FABP3 合成リガンドのα-シヌクレインオリゴマー形成阻害作用について検討する。MPTP 投与マウスの認知機能障害に対するリガンド投与による改善効果とドパミン神経細胞におけるα-シヌクレインオリゴマー形成阻害効果について検討する。
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Research Products
(7 results)