2015 Fiscal Year Annual Research Report
患者皮膚由来シュワン細胞を用いた難治性神経障害性疼痛の治療戦略
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15H06040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 徹 東北大学, 大学病院, 助教 (90756248)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医療 / 末梢神経 / シュワン細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト線維芽細胞からのシュワン細胞誘導は培養線維芽細胞に還元剤、レチノイン酸、そして4種のサイトカイン(塩基性線維芽細胞増殖因子 、フォースコリン、血小板由来成長因子-AA、ヘレグリン-β1-上皮成長因子ドメイン)を順に作用させることによって行った。この方法により、誘導開始後約8日でシュワン様細胞が得られた。 誘導されたシュワン様細胞については、これまで内在性シュワン細胞と同様の遺伝子、タンパク発現を示し、in vitroおよびin vivoでミエリン形成能を持ち、ラット坐骨神経切断モデルにおける運動機能の改善、軸索再生促進作用、脱神経によって生じた神経筋接合部の再形成促進作用を示していたが、本年度は神経障害性疼痛の治療効果において重要であると考えられるミエリン形成能を詳細に評価した。第一に免疫電子顕微鏡法によるミエリン形成能の評価を行った。具体的にはレンチウイルスによって緑色蛍光タンパク(GFP)を導入した培養線維芽細胞をシュワン様細胞に誘導し、人工チューブに充填、ラット坐骨神経切断モデルに移植した。観察期間後、動物を灌流固定し、移植片を摘出、固定し包埋後凍結切片を作成、GFPを金粒子でラベルされた2次抗体を用いて免疫染色後、超薄切片を作成後、電子顕微鏡で観察し、移植した細胞がミエリンを形成していることを確認した。 さらに、in vivoにおけるミエリン形成能について、移植片において移植細胞の細胞体とミエリン発現が確実に一致することを確認するため、ミエリンタンパクであるP0とGFPによる二重免疫染色を行い、3次元画像を取得、ミエリン構築と移植細胞の細胞体が3次元的に一致していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は誘導シュワン様細胞において、神経障害性疼痛の治療効果において重要であると考えられたミエリン形成能を詳細に評価したため、当初予定していた坐骨神経部分損傷モデルについて、神経障害性疼痛モデルとしての安定性を十分に評価できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの半年間で誘導シュワン細胞のミエリン形成能を十分に評価することができたと考えられるので、今後は坐骨神経部分損傷モデルに移植し、予定通り行動評価を行う予定である。
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