2015 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障モデル動物におけるGPNMBの発現解析と治療への試み
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15H06041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
面高 宗子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80569583)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 緑内障 / 網膜神経節細胞障害 / 軸索障害 / GPNMB / 神経保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 緑内障モデル動物の作製と網膜神経節細胞障害の評価 正常眼圧緑内障モデル動物の作製として、視神経軸索挫滅後の網膜神経節細胞(RGC)障害の評価を行った。RNA発現変化は網膜神経節細胞に特異的に存在するThy1, Nefh, Brn3a, Brn3b, Brn3cに加え、近年報告された新たな特異的マーカーであるRbpmsの遺伝子発現量をqRT-PCRで調べた。無治療、軸索障害後2,4,7日後の網膜を回収し、RNA抽出、cDNA合成の後にリアルタイムPCRを行った。その結果、Thy1, Nefh, Brn3a, Brn3b, Brn3cおよびRbpmsの発現は軸索障害後に経時的に減少していた。生存RGC密度を定量化するために、脳からの逆行性染色法により網膜神経節細胞をラベルし、染色されたRGC密度を網膜伸展標本で蛍光顕微鏡下に計測した。軸索障害後7日後の網膜では無処置のマウス網膜に比べて網膜神経節細胞数が有意に減少した。RBPMSのタンパク質発現をウェスタンブロッティングおよび免疫染色法にて確認したところ、軸索障害後7日後では、軸索障害後に著明な発現の減少を認めた。これらの結果から、視神経挫滅により経時的なRGCの減少が示唆され、緑内障モデル動物の作製とRGC障害の変化を確認できた。 2. 網膜神経節細胞障害時におけるGPNMBの発現解析 上記の緑内障モデル動物を用いて、網膜神経節細胞障害後の網膜内におけるGPNMBの発現を調べた。ウェスタンブロッティング法および免疫組織化学によりGPNMBの網膜内タンパク質発現および局在を検討した。しかしながらウェスタンブロッティング法、免疫染色によるGPNMBの発現を検出することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網膜内のGPNMB発現をウェスタンブロッティング法および免疫組織化学により確認することができず、GPNMBの網膜内局在やタンパク質としての生理的機能を検証する段階にまで至ることができなかった。試薬や実験方法を再度検証する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
〈1.網膜神経節細胞障害時におけるGPNMBの発現解析〉 前年度に引き続き、網膜神経節細胞障害時におけるGPNMBの発現解析の条件検討を行い、軸索障害モデル動物の網膜におけるGPNMBの遺伝子発現およびタンパク質の発現レベルを生化学的、分子生物学的ならびに免疫組織学的な手法を用いて評価し、GPNMBの緑内障における関与を明らかにする。 〈2.緑内障モデル動物におけるGPNMB過剰発現を用いた神経節細胞保護の評価〉 軸索障害モデル動物の眼内にGPNMBを過剰発現させるウイルスベクターを投与し、網膜神経節細胞にGPNMBを過剰発現させることで緑内障における網膜神経節細胞死の抑制を試みる。細胞死の評価法として、生細胞数を直接カウントする他、網膜神経節細胞のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する。加えて、網膜内死細胞を蛍光眼底in vivoイメージングにより計測してその神経保護作用を評価する。 〈3. GPNMB過剰発現による神経保護メカニズムの解明〉 GPNMBによる細胞死抑制の分子メカニズムを解明する。特に、緑内障の原因および進行と関連があるとされている酸化ストレスおよび小胞体ストレス存在下において、GPNMBがどのようなシグナル経路を経て細胞死を抑制するのかを生化学的および分子生物学的な手法により明らかにする。
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