2015 Fiscal Year Annual Research Report
精神的敗北感と認知的柔軟性に着目したうつ病とパニック症の個人認知行動療法の比較
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15H06090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永田 忍 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (90757460)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 精神的敗北感 / 認知的柔軟性 / うつ病 / パニック症 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では、本研究に同意が得られた、うつ病及び、パニック症の被験者に認知行動療法マニュアルに沿った週1回50分の認知行動療法(12週~16週の介入、12週間の経過観察を期間を経て試験終了となる)を専門の訓練を受けた臨床心理士等のセラピストによって、実施した(うつ病の被験者は現時点でも介入を実施中)。 うつ病の認知行動療法マニュアルの概要は①心理教育、②症状の概念化、③治療目標の設定、④行動活性化、⑤自動思考の同定、⑥イメージの同定と再構成、⑦対人関係の解決、⑧問題解決法、⑨初期記憶の同定と関連するイメージの書き換え、⑩スキーマの同定と修正、⑪再発予防であった。 パニック症の認知行動療法マニュアルの概要は①心理教育、②症状の概念化、③安全行動と注意の検討、④破局的な身体感覚のイメージの再構成、⑤注意トレーニング、⑥行動実験、⑦身体感覚イメージと結びつく記憶の書き直し、⑧「出来事の前後で繰り返しやること」の検討、⑨最悪な事態に対する他者の解釈の検討、⑩残っている信念・想定の検討、⑪再発予防であった。 さらに、有効性・安全性評価のための評価尺度(①うつ病の重症度測定:Hamilton Depression Scale(HAM-D)、②パニック症の重症度測定:日本語版Panic Disorder Severity Scale(PDSS)、③精神的敗北感の測定:Mental Defeat Scale(MDS)、認知的柔軟性尺度の測定:Cognitive Flexibility Scale(CFS))を介入開始前(0週)、介入終了後(12‐16週)、経過観察(24‐28週)を実施し、現在、このデータの収集を継続している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
うつ病の被験者の認知行動療法を現在も実施中であるため、評価尺度のデータ収集が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は、認知行動療法による介入開始前と介入終了後で、うつ病とパニック症のそれぞれの症状評価尺度(HAM-DとPDSS)及び、精神的敗北感尺度と認知的柔軟性尺度の変化の傾向を比較検討することを一度に実施する予定であった。しかし、より詳細に各々の疾患の精神病理的特徴を明らかにするために、①認知行動療法によるうつ病の症状改善度及び精神的敗北感、認知的柔軟性の変化の特徴、②認知行動療法によるパニック症の症状改善度及び精神的敗北感、認知的柔軟性の変化の特徴、③うつ病とパニック症の精神的敗北感、認知的柔軟性の変化の傾向の比較検討、という3段階で研究を進めていく予定である。
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