2015 Fiscal Year Annual Research Report
後期高齢者の包摂を目的とした高齢者インプロ実践プログラムの開発
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15H06113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園部 友里恵 東京大学, 大学院情報学環, 特任研究員 (80755934)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | インプロ / 演劇教育 / 高齢者演劇 / 後期高齢者 / ワークショップ / 包摂 / 高齢者学習 / 生涯学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ【文献レビュー】国内外のインプロ、演劇教育、高齢者学習、ケア論、グループワーク論等に関する文献・論文を収集し、レビューを進めた。教育・学習領域のみならず介護・福祉領域から高齢者の活動を捉えることを通して、高齢者のインプロ実践についての知見を深めた。また、プログラム開発をするにあたり、学校教育分野のカリキュラム研究等も参照した。 Ⅱ【先進的事例の調査:アメリカカリフォルニア州サンフランシスコ、オークランド】2016年2月22日~3月11日①高齢者パフォーミングアーツスクール「Stagebridge」におけるインプロクラス(初級、中・上級、パフォーマンスクラスの3クラス)、②高齢者介護施設「AlmaVia San Francisco」におけるインプロを活用した認知症メモリーケア実践、③非営利団体「Senior Center Without Walls」におけるグループ電話回線を用いた高齢者対象のインプロ実践、④多様な世代を対象にインプロ実践を行う団体「BATS Improv」のインプロ実践、の参与観察と関係者へのインタビュー調査を実施した。以上を通して、日本でアクションリサーチを行う際の手がかりを得るとともに、実践をめぐる課題について実践者らと情報交換を行った。 Ⅲ【柏市豊四季台団地におけるアクションリサーチ】2015年7月7日に高齢者インプロ劇団「くるる即興劇団」を結成(市内在住の65~89歳までの約30名)し、2015年7月から2016年3月まで毎月2回のワークショップを、2015年11月2日と2016年3月22日には中間成果報告会も兼ねた公演を開催した。なお、2015年12月7日のワークショップには、即興仮面の専門家を招聘し指導を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国内外のインプロ理論、高齢者学習論、介護福祉研究の文献レビューおよび海外の先進的事例調査、国内でのアクションリサーチを通じて、後期高齢者や身体的・認知的課題を抱える者も包摂可能な高齢者インプロ実践プログラムを開発することを目的としている。本年度は、最終年度となる来年度のプログラム提案に向け、①文献レビュー、②海外先進的事例の調査、③国内でのアクションリサーチを進めた。 ①文献レビュー:インプロ、演劇教育、高齢者学習、介護・福祉領域における高齢者のアクティビティ、カリキュラム論等の文献・論文を読み込むことができた。②海外先進的事例の調査:高齢者パフォーミングアーツスクール「Stagebridge」ではレベルの異なる3種類のインプロクラスの参与観察と関係者へのインタビュー調査を実施できた。また、本研究申請時に予定していた調査先である老人ホーム「Mercy Retirement & Care Center」については、実践者Mindy Creson氏の異動により「AlmaVia San Francisco」へと変更する必要が生じたが、同施設における同氏のインプロ実践の参与観察とインタビュー調査は予定通り実施できた。また申請時に予定していた上記2か所に加え、グループ電話回線を用いたインプロ実践を行う団体「Senior Center Without Walls」、多様な世代を対象にインプロ実践を行う団体「BATS Improv」にも調査に行くことができた。以上を通じて、様々なレベル・目的に応じたインプロクラスの運営の意義と課題について深めることができた。 ③国内でのアクションリサーチ:申請時に想定していたよりも早い時期にインプロパフォーマンスグループを結成し、継続して調査実践を進めることができた。そのことにより、インプロの継続による参加者の変化などの観察が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成28年度は、本年度の調査研究において得られた知見をさらに深め、後期高齢者や身体的・認知的課題を抱える者も包摂可能な高齢者インプロ実践プログラムを開発・提案することが目的である。 ①文献レビューについては、教育・学習領域と介護・福祉領域をつなげるという視点からさらに読み込み、プログラム開発へとつなげていく。②豊四季台団地におけるアクションリサーチでは、本年度の実践から得られた知見を整理し、実践をさらに洗練させていく。 以上によりプログラムを開発し、国内外の学会や研究会で報告するとともに、一般参加者にも開かれたワークショップやパフォーマンスを実施することを通して、より実践に直結した形で成果を発信していく。
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Research Products
(4 results)