2016 Fiscal Year Annual Research Report
Rabelais, magic and literary imagination
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15H06114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関俣 賢一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (80759283)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | フランス・ルネサンス / ラブレー / 仏文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる本年度は、初年度に引き続き資料の収集を行いながら、それらを元にラブレー作品の分析に努めた。ハインリッヒ=コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイム、カルカニーニ、ロディギヌスを主な比較対象とすることで、ラブレー作品の幾つかの典拠や思想的背景を明らかにした。特にカルカニーニの作品「リネラエオン」の魔術的-科学技術的な思想背景に「ヘルメス文書」の『アスクレピオス』が存在し、カルカニーニを経由してラブレー作品に通底するものであることを明らかにした。その一部は日本フランス語フランス文学会において口頭発表することが出来た。その過程で議論の分かれていた『第三の書』に現れる霊草パンタグリュエリオンの産出地の一つを特定した。付随的な副産物としての小発見ではあるが、ラブレー註釈に小さな貢献をすることが出来た。またカルカニーニの「愛の魔術要諦」の分析・翻訳・註解作業により、この作品がラブレーに魔術の脱神秘化という影響を与えた可能性が高く、またその点においてロディギヌスとアグリッパとも軌を一にしていることが判明した。更にはラブレー作品に特有の二重性はここで魔術の脱神秘化と同時に、神秘的魔術の寓意性によってもたらされ、それが文学的想像力の喚起に奉仕していることが明らかになった。この点は特にロディギヌスの魔術文学における寓意論が大きな影響を与えている。隠秘的特質を巡る概念はリヨンにおけるラブレーの先達医師であるサンフォリアン・シャンピエを経由してピエトロ・ダバーノから得られたものであると考えられ、その定義の科学的脱神秘性と隠秘的神秘性の両義性がラブレー作品の二重性と並行していると言える。これら成果について既に論文を一篇脱稿しており、また論文に使用できるよう引用を集めてありその成果を幾篇かの論文で発表して行きたい。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)