2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 優作 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (90635616)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 正則写像 / ケーラー多様体 / モンジュ・アンペールカレント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は高次元複素平面から、それと同じ次元のコンパクトケーラー多様体上への正則写像の振る舞いとモンジュ・アンペールカレントの関係性を調べた。コンパクトケーラー多様体が一次元の場合はそのような正則写像の性質はよく知られていたが、これが高次元となると、ユークリッドの位相で稠密でないコンパクトケーラー多様体上の正則写像が存在し、このような特別な振る舞いをする正則写像の性質はよくわかっていなかった。本研究では、ポテンシャルが有界なモンジュ・アンペールカレントと正則写像の交わりを計量的に計算することで、正則写像の振る舞いを調べることができることを示した。より具体的には、正則写像の位数関数のみによる条件で、コンパクトケーラー多様体上の正則写像の像が、多重劣調和関数の極となる集合を除くものとなることを示した。これは一次元の場合には正則写像は、定数写像か、その像が有限個の点を除くものとなることを一般化している。 当初の研究計画では射影代数多様体上の正則曲線とモンジュ・アンペールカレントの関係性を調べるつもりであった。しかし正則曲線を同じ方法で調べようとしても、その性質を深く理解することは困難であったため、正則曲線(これは一次元複素平面からの正則写像である)よりもわかりやすい対象である高次元の複素平面からの正則写像の性質を調べるようにした。このようにすることで射影代数多様体よりも一般的な対象であるコンパクトケーラー多様体について調べることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目標は射影代数多様体上の正則曲線の性質を、モンジュ・アンペールカレントや正則葉層構造、ジェットバンドルといった手法を用いて調べることにあった。現在は、モンジュ・アンペールカレントと、射影代数多様体と同次元の複素平面からの正則写像をモンジュ・アンペールカレントを用いて調べた状態である。そのため今のところ正則曲線の性質はよくわかっていない。しかし高次元複素平面からの正則写像を正則曲線の族と考えて、それが正則葉層構造といったもので統制されていると考えると正則曲線の性質を調べることも可能であるので、満足な研究状態とはいえないまでも、今後の研究によりうまく当初の目的を達成できるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
射影代数多様体上の正則曲線をモンジュ・アンペールカレントを使って調べる。現在までの研究で、高次元複素平面からの正則写像とモンジュ・アンペールカレントの関係性はわかっているので、それをどのように正則曲線の場合に適用するか調べることが課題である。また他にも、ジェットバンドルの性質を調べていきたい。ジェットバンドルは正則曲線との関連性はもちろん、射影代数多様体上の偏微分方程式の性質とも大きく関わっているので、ジェットバンドルを調べることは非常に意味のあることである。
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Research Products
(1 results)