2015 Fiscal Year Annual Research Report
天井落下時に発生する頭部衝撃荷重の評価に関する研究
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15H06142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中楚 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (70756361)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 天井 / 非構造材 / 安全性評価 / 衝撃解析 / 落下実験 / 人頭模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,実験を行わなくても天井材が落下した際の衝撃力を推定できるように,これまで合計約800枚の天井材を用いて行ってきた人頭模型への落下実験を模擬した数値シミュレーションを行った. 解析において,2種の天井材(ケイ酸カルシウム板と石膏ボード)とマグネシウム合金製の人頭模型を等方弾性体として有限要素モデルに置き換えた1/4モデルを作成し,衝撃解析の汎用ソフトLS-DYNAを用いて陽解法による衝撃解析を行った.天井板は人頭模型頂部から1mm上方にモデル化しており,天井板に初速度として落下高さ及び材質(重量)から理論的に求まる落下速度を与えた.計算ステップは実験と同様0.0001秒とし,0.02秒間の解析を行った.実験において人頭模型はロードセルを介しH形鋼によって支持されていたため,解析では人頭模型の底面をバネ-ダンパー支持として,人頭模型底面を固定としたときとの比較も行った.このとき,バネの剛性及び減衰定数には予め行っていたインパクタによる人頭模型の打撃試験結果から算定したものを用いている. 本解析により衝撃荷重履歴の波形の概形を模擬することができ,また,実験値と解析値に高い相関性を確認することができた.しかし,解析で求めた最大衝撃荷重は実験値に比べ9~14倍と大きな値であった.この原因としては,解析では,天井材の詳細な物性値が不明だったため,等方弾性体として扱った点や人頭模型の支持部のバネ-ダンパーモデルによるモデル化の影響等が挙げられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度では,天井材落下実験を模擬した時刻歴応答解析により天井材が人頭模型に衝突した際の衝撃力を推定することを目的としていた.汎用ソフトLS-DYNAを用いて本解析を実施し,実験時に得られた衝撃荷重履歴の波形の概形を模擬することができた.これより,平成27年度の研究は,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,計画通りマグネシウム合金製の人頭模型を有限要素モデルに置き換え,天井材落下実験を模擬した陽解法による衝撃解析のシミュレーションを行った.本解析により衝撃荷重履歴の波形の概形を模擬することができ,また,実験値と解析値に高い相関性を確認することができた.しかし,解析で求めた最大衝撃荷重は実験値に比べ9~14倍と大きな値であった.この原因としては,解析では,天井材の詳細な物性値が不明だったため,等方弾性体として扱った点や人頭模型の支持部のバネ-ダンパーモデルによるモデル化の影響等が挙げられる. そこで,平成28年度は以下の計画に沿って研究を行う.1.引張試験等の材料試験を行い,各種天井材の降伏応力や強度といった物性値を取得する.2.実験で得られた最大衝撃荷重を精確に模擬することを目的とし,1で得られた物性値を利用し破壊特性や材料非線形性を考慮した天井材の貫通シミュレーションを行う.また,1,2と並行して,3.人頭模型支持部(ロードセルを介しH形鋼により支持されている)のより詳細なモデルを用いた解析を行う.4.実験の都合上,天井材の大きさの違いが与える最大衝撃荷重への影響は検討できていなかったため,天井材の大きさをパラメータとした解析を行い,大面積で天井材が落下した場合の危険度の評価を行う.さらに,上記を踏まえ,5.天井材落下時の最大衝撃荷重を簡単な材料試験等によって得られる情報から算定できる簡易推定式を提案する.
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Research Products
(3 results)