2015 Fiscal Year Annual Research Report
がんを制御する細胞機能ネットワークの中心的分子Rad54Bを調節する機構の解明
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15H06146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安原 崇哲 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90757056)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | Rad54B / 細胞機能ネットワーク / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究によってRad54Bは様々なタンパク質と相互作用することで、細胞機能間の相互調整を行うネットワークを形成し、がんの制御を行っていることが明らかとなっている。多くの腫瘍組織においてRad54Bの発現は増加しており、Rad54Bの増加は臨床的な予後の悪化に関係する。これらの一つの機序として、Rad54BとMDM2-MDMXヘテロ二量体との相互作用が、p53の機能を抑制することが判明した。Rad54Bの増加は、DNA損傷後の細胞周期を進行させることで、ゲノム不安定性や、がん治療抵抗性を誘導する。しかしながら、Rad54Bの発現量がどのように制御されているか、その詳しい機序は不明であった。当研究では、①Rad54B発現調節ゲノム領域の同定、②その領域をターゲットとするRad54B発現調節機構の同定と解析を目的としており、今年度は主に①についての実験を行った。まずRad54B遺伝子の転写開始点の上流3kbpのゲノム領域をクローニングを行い、それらのプロモーター活性をルシフェラーゼアッセイによって比較検討した。その結果、転写開始点の上流3kbp、1.2kbp、0.5kbpのいずれの領域も同程度のプロモーター活性を有していることが判明した。従って、Rad54Bの発現量調節領域は、転写開始点の上流500bp以内にあることが示唆された。今後はこの領域内に結合する転写因子候補をデータベース等を利用して絞り込み、それら候補について解析を進めることで、Rad54B発現調節機構の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であった、Rad54B発現調節ゲノム領域の同定が達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に同定された、転写複合体の結合領域、転写活性の調節領域に対して、その調節に実際に関与する因子の同定を目標とする。データベースや文献等の解析により、すでにいくつかの候補転写因子をリストアップしており、それぞれの転写因子について、クロマチン免疫沈降法によって、そのゲノム領域に結合するかどうか確認する。次に、それらの因子をsiRNAでノックダウンすることでプロモーター領域に対する調節が変化するかどうかを解析する。 以上二つの実験で絞り込んだ転写因子に関して、特に、DNA損傷応答、細胞周期の両面に注目して実験を進める。具体的には、DNA損傷後の時間経過、あるいは各細胞周期において、その転写因子によるRad54Bプロモーター領域の調節がどのように変化するかを解析していく。また、転写因子自体の制御に関して、当該分野での位置付け、制御機構などを文献上で調査し、その特性に合わせて適宜Rad54Bの発現調節との関連性を検討する。これらの実験で得られた情報をもとに、細胞機能ネットワークの調整機構に関する仮説を立て、さらに検証を進めていく。
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Research Products
(3 results)