2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 洋介 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10509087)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / Midbody / 非対称分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は「造血幹細胞が対称・非対称分裂する際にmidbodyが一方の娘細胞に維持されるかあるいは放出されるかを観察する」ことであった。目的達成のために、以下の3つの研究を行った。 ①in vitro造血幹細胞タイムラプスイメージングシステムを構築。Nikon Ti顕微鏡をベースとして、東海ヒット社の96 well plate用のチャンバーを組み合わせて、造血幹細胞のシングルセルイメージングを可能にした。 ②造血幹細胞におけるmidbodyのイメージング。Midbodyを可視化できるマウスも作製中であるが、まずはレトロウイルスを用いて造血幹細胞にmidbody reporter(MgcRacGAP-hmKO2融合タンパク質)を発現させ、タイムラプスイメージングによりMidbodyの不均等分配あるいは放出が①のシステムを用いて観察できるかを検証し、細胞質分裂時にMgcRacGAP-hmKO2のシグナルが造血幹細胞のmidbodyに検出できることを確認した。In vitroにおいては、造血幹細胞の細胞分裂においては、約7割の分裂においてmidbodyは不均等分配され、3割においてmidbodyが放出されることを明らかにした。 ③midbody-repoterマウスの作製。当初の計画では、造血幹細胞・前駆細胞特異的に発現するRunx1-eR1エンハンサーを用いたeR1-hsp68p-MgcRacGAP-hmKO2マウスを作製する予定であったが、eR1-GFPトランスジェニックマウスの解析から、eR1エンハンサーは必ずしも造血幹細胞・前駆細胞特異的ではないことが判明したので、計画を変更し、Cre-inducibleなMgcRacGAP-hmKO2をRosa26遺伝子座にノックインしたマウスを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Midbody-repoterマウスの作製が遅れているため。当初の計画では、造血幹細胞・前駆細胞特異的に発現するRunx1-eR1エンハンサーを用いたeR1-hsp68p-MgcRacGAP-hmKO2マウスを作製する予定であったが、eR1-GFPトランスジェニックマウスの解析から、eR1エンハンサーは必ずしも造血幹細胞・前駆細胞特異的ではないことが判明したので、計画を変更し、Cre-inducibleなMgcRacGAP-hmKO2をRosa26遺伝子座にノックインしたマウスを作製中である。解決策として、当初Midbody-repoterマウス由来の造血幹細胞を使用して行う予定であった研究はすべてレトロウイルスによりMidbody-repoterを導入した造血幹細胞由来細胞を用いて条件検討等を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の柱であるMidbody-repoterマウスの作製が遅れているため、代替として、レトロウイルスによりMidbody-repoterを導入した造血幹細胞由来細胞を使用して研究を行う予定である。もちろん、Midbody-repoterマウスが完成し次第、Midbody-repoterマウスから採取した造血幹細胞を用いた研究にシフトする予定である。 Midbody-repoterマウスの作製については、現在、ポジティブクローンを選定中であり、マウス樹立後に、Vav1Creマウスとのかけ合わせにより、血液細胞特異的にMidbody-repoter発現するマウスを得る必要があるので、平成28年度中に本研究をすべて終わらせるのは困難であると考えられる。したがって、平成28年度の研究目的は、レトロウイルスによりMidbody-repoterを導入した造血幹細胞由来細胞を用いた各種解析法の検証と確立を中心に行う予定である。当初予定していたin vivoイメージング等の研究については、これも予定を変更し、レトロウイルスによりMidbody-repoterを導入した造血幹細胞由来細胞をマウスに移植し、移植後の同細胞の細胞分裂とmidbodyの分配とをタイムラプスライブイメージングする。
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