2015 Fiscal Year Annual Research Report
全身性強皮症患者の骨髄由来細胞の表現型の異常における転写因子Fli1の役割
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15H06164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 隆志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60757491)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / Fli1 / 血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fli1flox/floxマウスとLysM- Cre+/-マウスを交配し、骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウス(Fli1 McKOマウス)を作成、繁殖させた。まず、転写因子Fli1の恒常的発現低下が骨髄由来間葉系幹細胞の表現型に及ぼす影響を評価するため、野生型マウスおよびFli1McKOマウスの大腿骨および腓骨より骨髄細胞を採取し、DMEM培地にて培養することで骨髄由来間葉系幹細胞を回収し、血管壁細胞の標識遺伝子や細胞外基質ならびに血管新生促進因子の発現量をreal-time PCR法を用いて比較検討した。その結果、骨髄系細胞のFli1の恒常的発現低下は骨髄由来間葉系幹細胞のActa2、Sm22、Ng2、Pdgfrb遺伝子のmRNA発現を減少させた一方でRgs5、Mmp9、Col1a1、Col1a2遺伝子の発現を亢進させた。このことは、骨髄由来間葉系幹細胞においてFli1の発現低下は同細胞の血管壁細胞に類似した表現型に関して、血管内皮細胞を取り囲み血管の安定化に寄与する表現型から、血管の安定化能が低く細胞外マトリックスを産生する表現型へと形質を変化させる可能性があることを示唆する。また一方でFli1の恒常的発現低下は血管新生促進因子の遺伝子のmRNA発現に影響を及ぼさなかった。以上の結果から、骨髄由来幹細胞におけるFli1の発現低下は同細胞の脈管形成における役割に重要な影響を及ぼしている可能性を考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄由来細胞におけるFli1の発現低下が脈管形成の異常につながり、全身性強皮症特有の血管障害に類似した血管障害を再現することが徐々に明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウスで実際に全身性強皮症における特徴的な血管障害が見られるかどうかを評価していく。血管障害の基礎となる脈管形成の障害が見られるため、同マウスに血管障害が見られる可能性が高いと考えている。
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Research Products
(1 results)