2015 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣明細胞腺癌における細胞死誘導に着目した新規治療法の確立
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15H06173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樫山 智子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70755719)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / PI3K/mTOR阻害薬 / アポトーシス / 卵巣癌 / 婦人科腫瘍 / 分子標的薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)PI3K/mTOR経路阻害によるアポトーシス誘導関連蛋白の同定 アポトーシス誘導の有無:卵巣明細胞腺癌(OCCA)細胞株にPI3K/mTOR同時阻害剤(DS-7423)を添加しFlowcytometry解析(FACS)を行いてsub-G1(細胞死)の比率を算出しG1, G2/M期における細胞周期停止とあわせて評価、さらにAnnexin V法でアポトーシス細胞を検出した。その結果TP53に変異を有さない細胞株では変異を有する細胞株よりもアポトーシスの誘導率が有意に高いことが判明した。 ・PI3K/同時阻害剤を添加した細胞株から抽出したタンパクを用いWestern blotting法でPI3K-AKT下流分子のリン酸化レベルを評価したところ、細胞生存に関わるFOXO及びTP53依存性アポトーシスに関わる分子であるTP53AIP1, PUMAの誘導を認めた。以上よりTP53変異の有無がOCCAにおいてPI3K/mTOR経路阻害によるアポトーシス誘導において重要な役割を果たしていると考えられた。 (2)アポトーシスを誘導する新たな分子標的治療法の探索 ・TP53変異を有さないOCCA細胞株にsiRNAを用いてTP53ノックダウンを行った上でDS-7423を添加しアポトーシス誘導能を評価したところ、アポトーシス誘導率は有意に低下した。 ・TP53変異を有するOCCA細胞株にプラスミドを用いてTP53を導入し、DS-7423添加後のTP53転写活性をLuciferase活性を測定したところ、TP53導入細胞で転写活性は増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の分子標的薬のうち、PI3K/mTOR経路以外のもので、TP53を活性化させる作用を有するMDM2の阻害剤(RG-7112等)及びPI3K/mTOR経路の代償に活性化しうるMEKの阻害剤(pimasertib等)についてもその抗腫瘍効果については現在検討中である。また、TP53以外のアポトーシスに関連する分子の抽出は目立った標的分子はまだ明らかにはなっていないが、TP53がアポトーシスに強く関連することが示せているため、研究の進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
PI3K/mTOR阻害剤を、OCCA細胞株を移植したヌードマウスにそれぞれ投与し、in vivoでの腫瘍縮小効果を確認する。さらに、in vivoにおいても、治療標的分子の抑制により、実際にアポトーシスが誘導されているか否かを蛍光 in vitro アポトーシス検出キットを用いて検証する。 また抗癌剤(シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセルなど)とDS-7423の併用による抗腫瘍効果の評価を時間差投与も含めて行う。 TP53変異の有無に基づくOCCAにおける新規の臨床試験を立案し、提唱する。
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Research Products
(1 results)