2015 Fiscal Year Annual Research Report
院内感染症モデルに対するインターフェロンβの治療的効果とそのメカニズム
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15H06176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
比留間 孝広 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40572277)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症 / インターフェロンβ / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
C57/BL6マウスに回盲部結紮穿刺(CLP)を作成し、4日後に緑膿菌肺炎(PAIT)を作成し(PAIT)、two hit modelを作成した。①sham手術後にPAIT施行したsham群、②two hit model に治療として、CLP3日後に生食(NS)を投与した2H,NS群、③two hit model に治療として、CLP3日後にIFNβを投与した2H,IFN群の生存率は、Sham群と比較して2H,NS群は著明に低下し、IFNβの投与により生存率は有意に回復した。本研究ではfirst attackである腹膜炎が腹腔・肺胞マクロファージ、脾臓細胞にどのような影響を与えるかについて着目し、肺炎直前のそれらの機能について検討した。 腹膜炎が肺胞・腹腔マクロファージの機能に与える影響と、IFNβの効果を検証した。CLP3日後にIFNβ(CLP,IFN群)またはNS(CLP,NS群)を投与し、Sham群とあわせて、CLP4日後の肺炎直前に腹腔洗浄液、BALFを回収し、肺胞・腹腔マクロファージの機能評価を行った。肺胞・腹腔マクロファージの貪食能はCLP,NS群ではSham群と比較して有意に低く、CLP,IFN群はCLP,NS群と比較し有意に高かった。肺胞・腹腔マクロファージに対して、well上でのtwo hitとしてLPS刺激を行い、上清のTNFα発現量を測定したところCLP,NS群と比較してCLP,IFN群は有意に高値を示した。 腹膜炎やIFNβが脾臓細胞機能に与える影響を検証した。上記と同様の3群で、肺炎直前に脾臓を採取し、脾臓細胞を回収し、脾臓細胞のIFNγ受容体数の変化を測定したが、sham群よりCLP,NS群で有意に上昇したが、IFNβによる影響はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
two hit modelによる重症化のメカニズム、およびIFNβによる治療効果のメカニズムとして、肺胞、および腹腔マクロファージの貪食能や次なる刺激への反応性の変化が影響していることがわかった。重症化のメカニズムとして、脾臓細胞のIFNγ受容体の変化に影響することも判明した。しかしはメカニズムの一因ではあるが、メカニズムの全体を的確に説明できるものではないため、より詳細な検討が次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
より詳細なメカニズム解析として、肺胞マクロファージを用いたex vivoの実験を行う。回盲部結紮穿刺によって肺胞中に上昇するサイトカインを同定し、それらで肺胞マクロファージを刺激する。その後緑膿菌の刺激することで、well上でのtwo hitを引き起こし、その後のサイトカインやLPS刺激などを用いた実験でより詳細に検討を行っていく予定である。
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