2015 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍治療の新規標的分子の発見をめざしたメチオニン集積機構の分子細胞学的検討
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15H06187
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
壽美田 一貴 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (70752830)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / メチオニン / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は悪性神経膠腫の治療に向けた新規標的分子を見つけることを目的としている。近年同一患者の腫瘍内における遺伝子や分子発現の不均一性が報されており、当科においてはメチオニン(MET)-PETで集積が高い部分を全摘出した際に予後の改善につながることを報告している。MET集積部位にはより悪性度の高い細胞が存在する可能性が考えられ、腫瘍幹細胞との関連や、新たなバイオマーカーを解明することを目標とする。研究計画として2年間で5-10人の患者からメチオニン集積部位とその周囲の部位から採取した検体を用いてmicroarrayによるmRNAの発現量を比較すること予定している。平成27年度は当科に入院となった悪性神経膠腫の患者が例年より少なく、さらに少量の検体しか採取できなかった症例も多かったが、その中で2人の患者からメチオニン集積部位とその周囲の部位を分けて採取できたため、計4検体のmicroarray解析を行った。症例が少なく統計的な解析は現時点では行えていないが、共通して発現が上昇している遺伝子が見つかっており、現在その遺伝子のパスウェイ解析を行っている。とくにiPS細胞を作成するために必要と報告されているSOX2やMYCなどがメチオニン集積部位で発現が上昇しており興味深い結果となっている。これらの研究と同時に摘出した検体から腫瘍幹細胞培養を行う準備をしている。平成28年度は引き続き検体の採取を行うと同時にパスウェイ解析をすすめ、培養した細胞における候補分子の発現量のチェック、テモゾロマイドなどの薬剤耐性などについての実験も予定しいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では2年間で約5名(10検体)の患者から検体採取を行いmicroarrayにて解析を行う予定である。平成27年度は例年よりやや神経膠腫の患者が少なく、少量の生検にとどまった患者が多かったため2名(4検体)の解析となった。病理確定のための検体確保が最優先となるため、研究のための余剰なサンプルがとれなかった症例もあった。同時に進行している細胞培養については概ね順調に準備がすすんでおり、平成28年度には薬剤耐性の実験などを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の目標は神経膠腫の患者3名からの検体採取を目標として計5名(10検体)のmicroarrayを行う。それらすべてのパスウェイ解析を行い、共通で上昇している分子のパスウェイを検討する。現時点でiPS細胞に必要な分子のはmRNAの発現量の上昇なども一部みられているため他の検体などについても検討し、MET-PET集積部位における腫瘍幹細胞や、より未分化な細胞の存在などについても検討する。長期的にはさらに多くの検体を採取しデータを蓄積することにより、神経膠腫のgradeや生存期間、さらに再発様式などの臨床データも加味しながら解析をすすめていく。
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