2015 Fiscal Year Annual Research Report
カルシトニン遺伝子関連ペプチドの炎症制御機構の解明と、眼内炎症疾患への応用展開
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15H06244
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鳥山 佑一 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (90757759)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / ぶどう膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
リポポリサッカライド(以下LPS)の硝子体内注射を野生型マウスおよびヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(以下CGRP)ノックアウトマウスに投与し、眼内の炎症の状況を観察した。LPSの硝子体内注射では、両群ともに顕著なぶどう膜炎所見を呈し、細隙灯顕微鏡による観察では結膜毛様充血と前房内炎症細胞を認めた。眼底観察では網膜血管の拡張と強い滲出性変化を認め、重症例では硝子体混濁を認め眼底観察が不能であった。蛍光眼底造影検査でも早期から顕著な蛍光漏出所見を認め、個体によっては早期から著名な蛍光漏出を認め評価が困難な状態だった。前眼部および後眼部所見や蛍光眼底造影所見に野生型マウスとノックアウトマウスでは明らかな差異はみられなかった。病理組織では、脈絡膜を中心に網膜内にも血管からの著名な白血球浸潤を認めた。LPS投与濃度を漸減し再実験を行ったが、やはり投与後数時間後から強い炎症所見を呈し、眼底が観察困難になり評価困難になる個体が低濃度でもみられた。 LPSの硝子体内への投与では、眼内の炎症を過剰に誘導してしまい、眼内炎症の評価が不能になる固定がでてしまうこと、および野生型マウスとノックアウトマウスの表現型の差異もマスクされてしまうと考え、足底へのLPS投与による炎症誘導へ変更した。LPS皮下注射による炎症誘導では、結膜毛様充血と前房内炎症細胞、および網膜血管からの滲出性変化は軽度であったが、炎症の誘導には成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初行った硝子体内注射による炎症誘導モデルでは野生型マウスとノックアウトマウスの群間に明らかな差異は認められず、また炎症が強く誘導されすぎたため、別途準備していた手法に変更した。また遺伝子ノックアウトマウスの実験対象週齢マウスの確保が途中困難となった期間があり、ノックアウトマウス群での実験が停滞した。
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Strategy for Future Research Activity |
LPS皮下投与による炎症誘導は硝子体内投与に比しかなり軽微であったため、投与するLPSの濃度による炎症の度合いを確認し、安定した眼内炎症が得られた後に野生型マウスとノックアウトマウスの差異の検討を開始する。 ノックアウトマウスの個体数確保が難しい状況となった場合、実験計画に基づいて体外受精を大学動物実験施設に依頼し安定した個体確保を試みる。 またカルシトニン遺伝子関連ペプチドでは特異的な眼内炎症に明らかな差異が確認されない場合、そのファミリーペプチドであるアドレノメデュリンとその受容体調節蛋白の遺伝子改変マウスを用いた検討を行う。
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