2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本語談話の情報構造と周辺認知との関係を眼球運動測定によって実験的に解明する研究
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15H06245
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田島 弥生 岐阜大学, 医学部, 准教授 (10758204)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 言語相対説 / 周辺認知 / 情報構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究の目的> 認知言語学の分野で再び脚光を浴びるようになった言語相対説に関しては、主に言語固有の「語彙」や「統語」が母語話者の認知構造に及ぼす影響について検証が行われてきた。一方、本研究は、語彙や統語のレベルでは扱いきれない、「談話」レベルに観察される言語固有の情報構造が母語話者の認知構造に及ぼす影響について検証を行う。日本語母語話者の発話には、要点よりも先に周辺情報を言語化するという習慣が見られる。これは統語規則のように義務的なものではないが、日本語の談話に広く見られる習慣的な情報提示の順序である。本研究では、日本語、英語の母語話者を対象に、談話レベルに観察される言語固有の情報構造と母語話者の周辺認知との関係を、眼球運動測定装置を用いて実験的に明らかにし、言語相対説研究の発展に貢献することを目的とする。
<今年度の研究成果> 赤外線を用いて視線を計測する身体非接触型の注視点追跡装置TobiiX2アイトラッカーを用いて、英語の母語話者24名の眼球運動データを採取した。実験刺激には、風景を背景にした人、草原の動物、海で泳ぐ魚、絵本の挿絵という4種類の静止画像を各6枚ずつ使用し、同数のフィラーと合わせて、合計48枚の実験セットを作成した。選定した24枚の静止画刺激は、あらかじめ中心部と周辺部に区分けしたのち、アンケートによる評定実験を行って、中心部の選定の妥当性を検討した。実験参加者には、アイトラッカーを装着したPC画面にランダムに提示される静止画像を、言語描写を求められる場合と、言語描写を求められない場合の2つの条件下で、一枚ずつ一定時間見てもらった。静止画像の中心部と周辺部に現れる注視点の滞留時間を時間経過ごとに測定すると同時に、言語描写の音声録音を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
しばらく体調不良が続いたため
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Strategy for Future Research Activity |
日本語母語話者のデータを採取し、眼球運動データと言語データの分析を行う。研究成果は国際学会にて発表し、英語論文にまとめ、国際ジャーナルに投稿する。
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