2015 Fiscal Year Annual Research Report
地域協働型インフラ管理実装に向けた地域住民と専門家の役割及び地域社会への影響分析
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15H06246
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大野 沙知子 岐阜大学, 工学部, 特任助教 (50754214)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 地域協働型インフラ管理 / 公共財の自発的供給問題 / 社会基盤メンテナンスエキスパート(ME) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,モデル分析と実地域の調査の2 つの枠組みで進める.第1 に,モデル分析では,インフラ管理における「公共財の自発的供給問題」を拡張し,住民がインフラ管理に参加する要件について考察をする.第2 に,実地域での調査では,ヒアリング調査をする.住民の意識や住民間の関係,専門家との関わりへの期待など,地域協働型インフラ管理を実装するための住民側の選好から把握をする.また,専門家としてME にも,地域社会での活動の意識,住民との関わりなど地域協働型インフラ管理を実装するための選好をヒアリング調査から把握する.この2 つの枠組みから,地域協働型インフラ管理の成立要件と課題を把握する. H27年度は.インフラ管理における住民参加について,第一に,地域住民の特徴を捉えたモデルを構築した.具体的には,道普請とアダプト制度を事例としてとりあげ,公共財の自発的供給問題を基本に,住民の協働行動を考慮した拡張モデルを構築した.モデル分析の結果,住民参加の要素として,地域住民が周りを気にしない環境を作ること,楽しみや地域貢献の認識を受けられるような活動をつくることが重要であることを規範として示した.第二に,住民の意識や住民間の関係,専門家との関わりへの期待など,地域協働型インフラ管理を実装するための住民側の選好から把握をする.具体的には,地域内のインフラの要望に関する「要望書」を整理することで,住民要望が今後増加する可能性から,住民がインフラ管理に参加することの意義を示した.住民管理の範囲と役割では,原材料支給などの制度を活用し作業をしてもらうことは可能であり,参加のレベルとしては,日ごろの行動を見直すこともインフラ管理の効率化につながることを明らかにした.一方で,住民の体力,インフラの劣化の程度から,住民の管理の能力と対象物の変化から地域協働方インフラ管理における専門家の役割は重要であることを把握した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,モデル分析と実地域の調査の2 つの枠組みで進めているが,モデル分析では,地域協働型インフラ管理への住民参加の要件を規範的に示すことができた.実地域調査では,住民や専門家など関係者との調整ができており,住民の選考については,参加のレベルや課題から整理している.
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、地域協働型インフラ管理による、関係主体への影響、地域社会への影響を考察することが主な内容である。研究の視点として,地域協働型インフラ管理の実装は,(a)インフラ管理システムおよび(b)地域社会システムに影響が波及すると捉え、両視点から影響を整理する。 先行研究では、地域協働型インフラ管理の影響を,応用一般均衡モデルを用い、理論的に便益帰着構成表を作成し、考察をしている。例えば、地域住民にとって協働行為は、余暇時間の提供になることから負の影響であり、協働の取り組み促進のためには、活動に楽しみややりがいといった工夫が必要になる。一方で、主体協働の取り組み促進は、インフラ企業にとっては業務量が減少する。また、協働行為の結果提供されるインフラサービスの質が変化するなど他主体や地域に影響波及があることを明らかにしている。当該研究では、より詳細な影響を把握するために、影響を定性的に便益帰着構成表に記述するなど、影響評価の方法を整理し,それを用いて、地域社会にとって最適な役割分担および地域社会への影響について明らかにする。
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Research Products
(11 results)