2016 Fiscal Year Annual Research Report
Translation and Adaptation of Japanese Literature in Lianhuanhua(Chinese Comic)
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15H06257
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尹 シセキ 名古屋大学, 文学研究科, 研究員 (80761410)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 「日中友好」連環画 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、引き続き日本の文学作品と映像から改編された連環画を集め、書誌情報を整理した。その上で、有吉佐和子の同名小説から改編された『墨』や日中合作映画『さくら』、『涙血櫻花』などの連環画における「文化外交」表象をとりあげ、日中間を移動する日本人女性がいかに「日中友好」を語る役割を担ったかを考察した。共通したパターンとして、「子を産む」日本人女性と「子を産ませる」中国人男性の恋愛関係(もしくは擬似的恋愛関係)がほとんどの作品のモチーフとなっている。この関係性は「文化外交」イベントの進行とともに様々な障害に出会うが、いずれも周恩来の手助けにより円満な結末を迎える。「日中友好」連環画に見られる日本人女性と中国人男性の関係図は、戦前の国策映画とは逆のメタファーとして、国交正常化後の日中関係に対する左派文化人の想像であると思われる。 以上の研究成果は、口頭発表「中国の連環画における日本文学、映像、マンガの改編」(連環画研究会、北海道大学、2016.10.1)、論文「文化外交をする女性たち:1980年代の「日中友好」連環画」(『連環画研究』第6号、2017.3)、資料「日本文学・映画・テレビドラマを原作とした連環画」(『連環画研究』第6号、2017.3))を通して公開している。 それから、連環画の元になる日本書籍の、戦後中国においての流通ルートも考察した。戦後から1980年代初頭までに中国で「内部発行」(限定した範囲の読者に向けて出版、販売する)された日本の歴史書物、文学書のデータを多く集めた上で、出版傾向や冷戦イデオロギーとの関係性についても検証した。成果として、「冷戦下の中国における日本書籍の「内部出版」」を題して、21世紀メディア研究会(早稲田大学、2016年11月26日)で口頭発表を行った。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)