2015 Fiscal Year Annual Research Report
製品の部品構造と応用技術の特徴が企業業績、市場特性、産業構造に及ぼすインパクト
Project/Area Number |
15H06259
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
濱田 知美 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (50760047)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 経営学 / 経営戦略 / 技術経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、デジタル・イメージング産業における各製品の部品構造や応用技術が、市場特性や製品のコモディティ化、及び企業の技術力と市場成果との関係にどう関与するかを明らかにしようとするものである。 本年度は、主に資料の探索やデータの収集を行った。具体的には下記の情報を収集した。(a)部品構造と機能上の特徴が各々異なる三つのデジタルカメラ製品(デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ)について、その技術の変遷に関する情報を、関連する業界雑誌・図書から収集した。(b)過去20年間に各製品を生産及び販売した実績のある全企業のリストアップを行った。(c)解析用のデータ収集については、各製品を生産及び販売する企業11社が過去20年間で出願した、デジタルカメラに関連する合計約10万件の特許情報を再度収集した。 また本年度は、収集したデータの傾向を掴むための予備分析を行った。その結果、デジタル一眼レフカメラ市場では、特許出願数が多く、また光学分野と電子写真、電気通信の技術領域を越境するような特許の出願確率の高い企業が、比較的高い市場シェアを獲得してという予備結果を得た。一方でコンパクトデジタルスチルカメラやミラーレス一眼カメラの市場では、企業の特許出願数の数や、広範囲の技術領域における越境的な研究開発実績が、高い市場シェアの獲得に結びついていなかった。 上記の結果は、製品の部品構造内にアナログ技術とデジタル技術を各々応用した部品同士の相互作用が存在する製品は、そうでない製品よりも、企業の分野横断的な技術力が市場成果に結びつくという、本研究の前提を支持する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を進行するさい、以下のような問題に直面したため、当初の研究予定より進行がやや遅れている。 本研究の進行には特許情報のテキストマイニングが必要であり、そのための膨大な単語の定義が必須となる。光学技術、電気通信技術、電子写真技術が各々応用される部品や技術の名前を同定し、その出現頻度や共出現の相関、及びその時系列情報を整理することに、想定していた以上の時間がかかっている。 今後は、専用のソフトウェアを使用することを検討し、引き続き単語の定義を繰り返すことで対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の分析上の問題をソフトウェアの導入によって解決し、引き続き、当初の予定通り研究を推進していく。 単語の定義を行ったのち、特許情報のテキストマイニングを行い、光学技術、電気通信技術、電子写真技術が各々応用される部品や製品の名前を同定し、その出現頻度や共出現の相関、及びその時系列情報から、各企業の製品開発動向の体系化を行う。そして得られた各企業の技術開発及び製品開発動向の結果と、各企業の市場成果との連動性を、部品構造の異なる製品ごとに解析する。
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Research Products
(1 results)