2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲンLewis酸/キラルLewis塩基触媒を用いる不斉クロロ及びフッ素化反応
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15H06266
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
堀部 貴大 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20756655)
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| Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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| Keywords | ハロ環化反応 / クロロ環化反応 / フルオロ環化反応 / Lewis塩基 / エナンチオ選択的反応 / カルコゲン触媒 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ハロゲン原子の協奏的活性化が行えるキラルLewis塩基・Lewis酸協奏的触媒を設計・開発し、そのシステムを用いたエナンチオ選択的ハロ環化反応の開発を研究課題とする。エナンチオ選択的ハロ環化反応の中でも、1) エナンチオ選択的クロロ環化反応および2) エナンチオ選択的フルオロ環化反応への適応できる触媒システムの開発を主なターゲットとした。クロロ環化反応およびフルオロ環化反応は、ハロゲン分子の制御の難しさから副生成物を多く生じさせる困難な反応である。本システムではLewis塩基・Lewis酸触媒による高活性なハロゲンを協奏的に制御し、副反応を抑制する。初年度は研究計画の通り1)エナンチオ選択的クロロ環化反応の開発に重点をおき、研究を実施した。その結果、副反応の併発しやすいクロロ環化反応を円滑に進行させることのできるシステムの開発に成功した。本触媒システムの鍵は、ハロゲンLewis酸と共にカルコゲンLewis塩基を用いたことである。高い塩基性有するセレンや硫黄などのカルコゲン原子を塩基性部位に用いることで、極低温でもハロゲンの活性化が行えた。その結果、活性化の難しい塩素原子を活性化することができ、高い収率でクロロ化反応の生成物を得ることができた。またキラルなカルコゲンLewis塩基を用いることで中程度ではあるもののエナンチオ選択性の発現に成功した。平成28年度は引き続きエナンチオ選択的クロロ環化反応の開発を行うとともに、2)エナンチオ選択的フルオロ環化反応の開発を行っていく予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、初年度は1)エナンチオ選択的クロロ環化反応の開発を重点的に実施した。通常の触媒では円滑に進行しないクロロ環化反応を進行させる触媒システム構築のために、まずはアキラルなLewis塩基触媒の検討を行った。その結果、Lewis塩基部位にセレン原子を有する触媒を用いることで、クロロ環化反応の開発に成功した。このアキラルなLewis塩基触媒の知見をもとにキラルな芳香族セレン触媒を設計し、エナンチオ選択的クロロ環化反応を検討した。その結果ビナフチルジアミン由来のセレン触媒が高い活性を示し、対応する生成物を高収率で与え、中程度のエナンチオ選択性を発現した。
また硫黄をLewis塩基部位に有する触媒がアルケンのヨードクロロ化反応に高い活性を有することを明らかにした。アルケンのヨードクロロ化反応は、活性の高いヨードクロロ分子のために副反応の生成しやすい反応であった。一方、本触媒システムでは硫黄Lewis塩基とハロゲンLewis酸がヨードクロロ分子を挟み込む形で活性化できるために、低温でも反応が進行し、極めて穏やかな条件下副反応を進行させることなく目的生成物を得ることができる。
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| Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究において、硫黄およびセレンのLewis塩基性とそれらの触媒を用いたハロゲン化反応での有用性を見いだすことができた。今後はその知見をもとにキラルな触媒を設計し、高エナンチオ選択的反応の開発を目指す。キラルなセレン分子はこれまでいくつかの報告がなされているものの、いずれも触媒反応では用いられていない。こうした既存のキラルセレンの合成知見をもとに新規キラルセレン触媒を設計し触媒反応に用いる。また反応終了後に得られるクロロ環化生成物を数ステップの化学修飾により誘導し、生物活性天然物や医薬品へと誘導する。
またヨードクロロ化反応に有効であった硫黄Lewis塩基触媒の知見をもとに、キラル硫黄触媒を設計しエナンチオ選択的ヨードクロロ化反応の開発を行う。
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Research Products
(4 results)
