2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ界面損傷を考慮したCFRP積層板の3次元非弾性損傷進展解析手法の開発と実証
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15H06267
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 圭太 名古屋大学, ナショナルコンポジットセンター, 助教 (00760935)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 複合材料・物性 / 計算固体力学 / マルチスケール解析 / 損傷解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,CFRP構造部材の効率的設計に資するため,ミクロ界面の損傷進展挙動を考慮したCFRP積層板のマルチスケール非弾性損傷進展解析手法の構築を目的とする.提案手法は,ミクロ界面の損傷進展挙動とCFRP積層板のマクロ力学挙動を相互に関連付けた高精度な解析が可能であり,構成材料の性質やその組合せが多岐に渡るCFRP積層板の特性解析を低コストで実施できる.これにより,CFRP構造部材の設計を効率的に進めることができ,当該分野での我が国の国際競争力確保に貢献できる. 上記の目標を達成するため,平成27年度では,CFRP積層板の非弾性挙動を考慮した損傷判定則を報告者が開発してきた解析コードに導入することで,マルチスケール非弾性損傷進展解析手法を新規に構築した.これにより,樹脂母材の粘塑性挙動に起因するCFRP積層板の非線形挙動を考慮した損傷進展解析が可能となった.加えて,本解析コードで使用する材料パラメータを同定するために,CFRP積層板の材料試験を実施し,クロスプライCFRP積層板の層間破壊靭性に関する基礎データを取得し,解析結果および実験結果についての比較・検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,ミクロ界面の損傷進展挙動を考慮したCFRP積層板のマルチスケール非弾性損傷進展解析手法の構築を目的としている.このため,平成27年度においては,CFRP積層板の非弾性挙動を取り扱うことが可能な解析手法の構築に取り組む必要があったが,上記「研究実績の概要」欄で述べたように,開発した解析コードを用いてCFRP積層板の非線形挙動を考慮した損傷進展解析が可能となり,この点については概ね目標が達成された.一方,解析結果および実験結果についての比較・検討に関しては,解析精度の観点から課題が残っており,損傷判定則の高精度化など,更なる検討が必要であることから,進捗に関しては上記のように判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の平成28年度における推進方策としては,提案手法の実構造物への適用を主な目標とする.これにあたって,部材全体のミクロ構造を考慮したモデルで解析することは,モデル作成や計算コストの観点から非現実的であるため,提案手法とズーミング解析手法とを組合せる新規手法を開発することで,これらの問題を解決する.まずは部材のミクロ構造は考えず一様材料からなると考え,マクロ有限要素モデルを作成し,これに適切なマクロ構成式および境界条件を与えて解析を行う.つづいて,マクロ解析の結果に基づき詳細解析が必要と判断された箇所に対して,これまでに開発したミクロ界面損傷進展解析を実施することで,ミクロ/マクロを連成解析する.さらに,CFRP構造部材の損傷解析をより効率的に実施するため,本手法を反映したユーザーサブルーチンを作成し,汎用有限要素解析ソフトへ組込みを試みる.並びに,上記「現在までの進捗状況」で述べた解析の高精度化についても継続して取り組む.これに関しては,損傷判定則の検討に加えて,損傷の有無のみを考慮した損傷表現を拡張し,要素における損傷の度合いも考慮した損傷表現の導入を試みる.また,これらの解析結果の妥当性・有効性を確認するため,実験結果との比較を随時実施し,提案手法の実用性を明らかにする.
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Research Products
(5 results)