2015 Fiscal Year Annual Research Report
土壌細菌・高等動物における有機ヒ素還元・分解の分子機構研究
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15H06274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉永 雅史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80754978)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 応用微生物 / 環境 / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
低毒性5価有機ヒ素は、諸外国で農業利用されているが、環境中で毒性・発癌性のより高い無機ヒ素へと分解されることが知られており、使用継続による環境汚染拡大が懸念されている。代表者らは、これら5価有機ヒ素分解が、異なる土壌細菌種による還元と無機化の二段階反応ステップからなる新規経路を通して行われることを発見、加えて、無機化ステップについては原因遺伝子の同定にも成功し、その分解分子機構の一端を明らかにしている。一方で、新規経路における無機ヒ素以上に毒性・発癌性の高い3価有機ヒ素が生じる還元ステップを筆頭に、有機ヒ素分解の分子機構理解はほとんど進んでいない。有機ヒ素使用が環境に及ぼす影響をより正確に把握するためには、その分解分子機構の理解が不可欠である。
本研究では、有機ヒ素還元菌や有機ヒ素分解活性を持つ環境サンプルを用いて、関連遺伝子の更なる同定とコードタンパク質の機能解析を行い、有機ヒ素分解の分子機構のより詳細の解明を目指す。有機ヒ素還元については高等動物でも報告があるが、その分子機構については不明な部分が多いため、マウスやヒト培養細胞を用いた解析等の予備研究も並行して行い、高等動物における有機ヒ素代謝についても関連因子の探索を試みる。
平成27年度は、土壌細菌の有機ヒ素還元・分解に関わる遺伝子群の同定を目標に研究を行った。いずれの目的遺伝子についても、採用した選別法がうまく機能せず、目的遺伝子の同定には至っていない。現在、より早い目的遺伝子の同定を目指し、各選別法の改良に取り組むと供に、他の代替手法についても並行して検討を進めている状況である。高等動物の有機ヒ素還元機構については、ヒト培養細胞やマウスに対して有機ヒ素を曝露、還元活性を持つ細胞・器官の探索を行ったが、活性の検出にはまだ至っていない。こちらについても解析法の改良等を推進し、活性を持つ細胞・器官の早期同定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.土壌細菌による有機ヒ素還元・分解の分子機構解明:H27年度の目標は、目的遺伝子群の同定であったが、いずれの目的遺伝子についても、採用した選別法がうまく機能しなかったため、目的遺伝子を同定することが出来なかった。
2.高等動物の有機ヒ素還元の分子機構解明:H27年度の目標は、目的活性を持つ細胞(ヒト)や器官・組織(マウス)を同定することであったが、活性の検出に至っていない。土壌細菌に比べ活性が大変低い、還元された有機ヒ素が細胞内タンパク質に強固に結合して細胞外に放出されない、等の理由が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.土壌細菌による有機ヒ素還元・分解の分子機構解明:前年度採用した各遺伝子選別法については、問題点を明らかにし、うまく機能するように改良を加えていく。同時に、他の代替手法についても並行して検討を進めていくことで、より早い目的遺伝子の同定を目指す。
2.高等動物の有機ヒ素還元の分子機構解明:還元活性を持つ細胞・器官の同定を最優先に、活性の検出法の改良等を推進する。活性が確認され次第、逆遺伝学的手法による原因遺伝子の同定を試みる。
いずれの計画においても、目的遺伝子が同定され次第、順次クローニングを行い、各遺伝子を発現した大腸菌を用いてin vivoにおける活性を確認する。また精製タンパク質を用いてin vitro活性についても解析、対症タンパク質の特徴・特性を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)