2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06286
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
木村 慧 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00758716)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 制約充足問題 / アルゴリズム / 数理計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
制約充足問題は数多くの,特に離散的な判定問題を統一的に扱う枠組みであり,一般にNP完全である.そのため,問題に制限を加えた際の計算量の解析が盛んに行われており,扱える制約集合を制限した際の計算複雑さが多項式時間可解であるかNP完全であり,その間の計算量は現れないという予想は二分予想と呼ばれ,理論的に非常に重要な課題であると認識されている.この予想の解決に向けて,普遍代数を用いた離散的なアプローチが成功を収めているものの予想の解決には至っていない.本研究の目的は連続最適化,特に線形計画や半正定値計画などの数理計画を用いたアプローチにより,二分予想の解決を含め,様々な問題の計算複雑さを明らかにすることである.本年度の研究では,これまでの研究における制約が線形不等式で与えられる問題に対する線形計画を用いたアルゴリズムを踏まえ,制約が線形不等式ではない場合を扱った.特に,有限体上の線形方程式により表すことのできる制約に対し,既存の線形計画を用いたアルゴリズムが直ちには適用できない例があるので,線形不等式で与えられる制約との関係を考察し,いくつかの関係を明らかにした.また,数理計画を用いたアプローチは多項式時間可解性を示す際には強力であるものの,その計算時間は既存の離散的なアルゴリズムと比べて少なくないことが多い.そこで,制約が線形不等式で与えられる問題の中でも特殊な部分問題クラスに対しては高速なアルゴリズムを与えたが,この結果に関して取りまとめを行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの線形計画を用いたアルゴリズムは,制約が線形不等式でない場合には直ちに適用することが出来なかったが,このような制約の性質が明らかになってきている.特に,制約が線形不等式で表せる場合との関連においても性質を明らかにしており,具体的には,有限体上の線形方程式により表すことのできる制約が主論理積形において満たす性質などについて明らかになってきており,これら結果を合わせて取りまとめている最中である.また,連続最適化によるアプローチにより多項式時間可解性を示した上で高速なアルゴリズムを開発することにより,現在ではまだ一部の部分問題クラスに限られてはいるが,その構造のより深い理解を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
制約が線形不等式でない場合の問題に対するアルゴリズムの設計を進めていく.このためには,これまでに行っている,制約が線形不等式で与えられる場合との関係を明らかにする方向を押し進めることを考えている.特に,有限体上の線形方程式における関係を明らかにして来たが,この結果に対して計算複雑さの視点を取り入れていく.同時に,問題の計算複雑さを明らかにする点においてより適用範囲の広い手法を与えるために,双対問題を探求するアプローチを行う.この際,特に,連続最適化における双対性に着目することを考えている.このアプローチの狙いは,問題がcoNPに属すことを示すことにより,多項式時間可解であることの強い証拠を与えることである.
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Research Products
(1 results)