2015 Fiscal Year Annual Research Report
がん特異的なUCHL1-HIF-1経路制御機構解明と放射線治療効果増感への展開
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15H06337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 容子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60755651)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 低酸素 / 悪性腫瘍 / UCHL1 / HIF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、悪性固形腫瘍内部でHIF-1を活性化し、がんの悪性形質と治療抵抗性を亢進する新規遺伝子としてUbiquitin C-terminal hydrolase-L1 (UCHL1)を同定してきた。また、腫瘍内のUCHL1発現レベルが高いがん患者の生命予後が不良であることを明らかにしてきた(Goto et al. Nature Communications. 2015)。 本研究で平成27年度は、UCHL1-HIF-1経路が遠隔転移形成のみならず放射線治療抵抗性に関与するか否かを検討する実験を行った。 放射線抵抗性を評価するため、まずUCHL1を安定的に導入した細胞株の樹立を行った。UCHL1を安定的に導入した細胞株では、コントロールの細胞株に比して有酸素下でin vitroコロニーフォーメーションアッセイでコロニー形成能の上昇を認め、放射線治療抵抗性がもたらされていることが明らかになった。次に、この放射線治療抵抗性がHIF-1依存的であるか否かを評価した。この目的のため、HIF-1をノックダウンした細胞株を樹立し、その細胞株にさらにUCHL1を安定的に導入した細胞株を樹立した。UCHL1の過剰発現による放射線治療抵抗性は、HIF-1をノックダウンした細胞株では認められず、UCHL1がHIF-1依存的に放射線抵抗性をもたらしていることが明らかになった。 今後さらにin vivoでの放射線抵抗性の評価、UCHL-HIF-1経路が放射線抵抗性をもたらすメカニズムの解明およびUCHL1の発現制御機構の解明を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UCHL1が悪性固形腫瘍内部でHIF-1を活性化することから、UCHL1-HIF-1経路が遠隔転移形成のみならず放射線治療抵抗性をもたらすのではないか、との仮説のもとin vitroの実験を行った。 コロニーフォーメーションアッセイにて予想通りUCHL1の過剰発現により放射線治療抵抗性がもたらされていることが明らかすることができた。また、このUCHL1による放射線抵抗性がHIF-1依存的であることも明らかにした。 平成28年度はさらにin vivoにおける評価や放射線治療抵抗性をもたらしているメカニズムの解明を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まずin vivoにおける評価を行うため免疫不全マウスに腫瘍細胞を移植したxenograftを作成し、放射線照射による腫瘍増殖抑制がUCHL1の発現の違いにより生じるかを評価する。またin vitroにおいてもUCHL1-HIF-1経路が放射線抵抗性をもたらすメカニズムの解明を進める。 さらに、こういったがんの悪性形質と治療抵抗性を亢進するUCHL1の発現レベルの高いがん細胞と低いがん細胞が存在する理由を明らかにするために、UCHL1の発現制御機構の解明を目指す。
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Research Products
(2 results)