2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06371
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 毅士 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20756994)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | Rubicon / オートファジー / フラックス / クロロキン |
Outline of Annual Research Achievements |
[背景と目的] 我々は種々の腎疾患に対抗してオートファジーが生体保護的に機能することを報告している。オートファジーは動的な過程であり、そのターンオーバー速度をフラックスと呼んでいる。オートファゴソームが多数観察された場合、それが「オートファジーが停滞している」ことを意味しているのか、「亢進している」のを意味するのか不明である。in vitroでは細胞にオートファジー阻害剤を添加してLC3-Ⅱ(オートファゴソームに一致する)の蓄積を評価することによりフラックスの程度を推定することは可能であるがin vivoでは一般的でない。本研究では(1)in vivoでのオートファジーフラックスを評価する方法を確立する。(2)オートファジー阻害因子Rubiconをノックアウトすることで、「オートファジー亢進マウス」を作成し、種々の腎疾患ストレスに抵抗性であることを証明する。(3)オートファジー活性化薬を臨床応用する試みの前段階として、①エベロリムス(一般的にはオートファジー活性薬として認知されている)を投与した腎移植患者の腎生検組織の評価を行う、②オートファジー活性化薬を探索し、腎疾患モデルマウスへの投与効果を検証することを目的とした。 [結果] (1)GFP-LC3マウスにリソソーム機能阻害剤クロロキンを投与し、6時間後に安楽死させ、腎尿細管のGFP陽性ドット数をクロロキン投与をしない場合とで比較すること、およびタモキシフェン誘導性近位尿細管特異的オートファジー不全マウスでタモキシフェン投与2週間後にマウスを安楽死させ、オートファジー基質であるp62陽性タンパク凝集塊の量を(タモキシフェン投与なしの場合と)比較することでin vivoでのオートファジーフラックス評価方法を確立した。(2)RubiconノックアウトマウスではLC3Ⅱが増加しており、オートファジーが亢進していた。脂肪負荷ではTGFbetaなどの線維化マーカーやMCP-1などの炎症マーカーがmRNAレベルで減少していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)in vivoでのオートファジーフラックスを評価する方法を確立するという最初の目標は完全に果たせた。今後これまでに単純にオートファゴソームの増加からオートファジーが亢進しているとされてきた種々のストレスが、実際にフラックスを亢進させているのかを検証していくことが可能になるだろう。 (2)全身性Rubiconノックアウトマウスの解析は順調に進んでおり、オートファジーが亢進していることが示された。腎尿細管特異的Rubiconノックアウトマウスの作成・解析はやや遅れており平成28年度にずれ込んでいる。 (3)①ヒト移植腎生検サンプルを用いてp62とLAMP1を染色することを計画しているが、現時点では、サンプル収集がほぼできた状況で、今後染色を開始する。 ②オートファジー活性化薬の腎疾患モデルマウスへの投与効果を検証することに関しては手つかずである。
|
Strategy for Future Research Activity |
概ね研究調書に則った形で遂行できそうである。腎尿細管細胞特異的Rubiconノックアウトマウスの作成、評価が少し遅れそうなので、RubiconのsiRNAや阻害デコイに関しても平成28年度中に実験を終了するのは難しいかもしれない。その場合は別なオートファジー活性化薬で試してみる可能性がある。
|