2015 Fiscal Year Annual Research Report
放射線抵抗性頭頸部癌に対する解糖系を標的とした新規治療法の開発
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15H06379
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮部 淳二 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60756831)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | MCT4 / 頭頸部癌 / 放射線抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌培養細胞株FaDu、Detroit562、BICR6およびそれぞれから樹立したシスプラチン耐性株の計6種類の細胞株を用い、1)乳酸の細胞外への排出についての検討、2)細胞生存率の検討(MCT4ノックダウン、放射線照射とMCT4ノックダウンの併用、放射線照射後にMCT4ノックダウン)3)アポトーシスに関する検討を正常酸素圧条件下および低酸素圧条件下で行う予定であったが、Fadu,Detroit562の2種類の細胞株について検討を行った。まずsiRNAによりMCT4がノックダウンされることをウェスタンブロッティングにより確認し、低酸素下でFadu,Detroit562を培養した場合、正常酸素下での培養に比しMCT4の発現が増大することを確認した。siRNAを用いMCT4の発現をノックダウンすると、乳酸の細胞外への排出が低下すると考えられたが、現在のところ明らかな排出の低下は確認できていない。また結果にばらつきが生じており十分な検討が行えていない状況である。細胞生存率の検討については、FaduにおいてMCT4ノックダウンにより細胞生存率が低下する傾向を認めた。Detroit562についても同様の結果を得た。放射線照射にMCT4ノックダウンを併用すると放射線単独の場合と比べ細胞生存率が有意に低下すると考えられたが、放射線照射により死滅してしまう細胞が多く、現在のところ有意な差は検出できていない状況である。Fudu、Detroit562、BICR6のシスプラチン耐性株については現在作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん細胞株を用いて放射線照射による細胞生存率を検討する場合、MCT4ノックダウンによる生存率低下の影響もあり、照射条件などの条件設定の検討に時間を要している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづきMTTアッセイによる細胞生存率を評価を継続しておこなっていく。またMCT4ノックダウンの前後でpropidium iodideで染色してFACSを行い細胞周期を評価する。 DNAに二本鎖損傷が起こるとヒストンH2AXがリン酸化され、DNA損傷応答機構が活性化し細胞周期が停止する。そこで、放射線にMCT4ノックダウンを併用すると、H2AXのリン酸化が亢進すると同時にリン酸化H2AX (γ-H2AX)の脱リン酸化が遅延しDNA修復の効率が低下することを、γ-H2AXの蛍光免疫染色およびWestern blottingにより検証する。放射線照射にMCT4ノックダウンを併用すると、放射線照射前と比べてROSの産生量が変化するかについても検証する。
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