2015 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of teeth aging by ultrastructural analysis and mechanical properties measurement
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15H06381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 美寿穂 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60757813)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 歯学 / 象牙質 / コラーゲン線維 / 糖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は歯の加齢変化の評価を行うことを目的とした。本年度の研究実施計画として、透過型電子顕微鏡を用いて形態学的に象牙質の構造と象牙質コラーゲン分子構造を評価し、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線元素分析装置およびマイクロX線CT装置にて象牙質の構成元素の変化を解析することを予定とした。さらに来年度のナノインデンター装置による物性評価のための予備実験を行う予定とした。 透過型電子顕微鏡により象牙質の構造及び象牙質コラーゲン線維の分子構造の評価を行ったところ、若年者と高齢者の歯を比較すると管周象牙質に構造の変化を認めることができた。また、エネルギー分散型X線元素分析装置およびマイクロX線CT装置による象牙質の構成元素に加齢による変化を評価することができた。特に、構造の変化が著名であった管周象牙質では構成元素の変化も著名であった。これらのことにより象牙質の加齢変化の一つとして構造と構成元素の変化が起き、それらに相関があることがわかった。構造および構成元素の変化は象牙質の物性にも影響を及ぼす可能性は高い。象牙質の物性には象牙質コラーゲン線維にも関与していると考えらえるが、分子構造の評価では象牙質コラーゲン線維の構造変化は著名でなかった。象牙質コラーゲン線維の物性測定を次年度に行うことで詳細を明らかにすることができる予定である。 象牙質コラーゲン線維の物性測定のため予備実験では、試料モデルの決定と測定条件の検討にあたり、物性測定に関する専門知識を有する研究者と意見交換を行う場として学会発表を行う機会を得、多くの研究者からアドバイスを頂くとともに研究課題への新たな見地を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画として象牙質の構造分析、構成元素分析および石灰化度の評価を行うとともに、来年度のナノインデンター装置による物性評価のための予備実験を行う予定であった。本年度の計画とともに物性測定の予備実験を進めていたが、使用していたナノインデンター装置に不測の故障が生じた。そのため、当装置の修理と調整が必要となり、装置が使用できず実験計画が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、免疫組織化学染色法とナノインデンター装置を用いた物性測定を予定している。免疫組織化学染色法では、象牙質コラーゲン線維内のAGEsの分布を組織レベルで可視化することができ、AGEsの局在の評価を行うことができる。ナノインデンター装置を用いた物性測定では、象牙質コラーゲン線維のヤング率を測定することで象牙質コラーゲン線維自体の物性値の定量を可能とし、免疫組織化学染色法と併用することで糖化と物性の相関をみることができる。 ナノインデンター装置の修理および調整により物性測定の研究計画に遅延があるが、他の研究計画に遅延はない。そのため物性測定と並行して行う予定であった免疫組織化学染色の予定を先にすすめ、インデンター装置復旧後には物性測定のみを遂行できるように対応し遅延した研究予定を補填することで研究課題の推進方策とする。
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