2015 Fiscal Year Annual Research Report
舌圧・喉頭運動・嚥下時姿勢同時計測システムによるパーキンソン病患者の嚥下機能評価
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15H06385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
皆木 祥伴 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (30755351)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 歯学 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
PDで外来通院中の患者の嚥下時舌圧・喉頭運動計測および,嚥下障害の臨床的評価データ収集に関しては予定通り進行している.舌圧に関しては,すでに申請者が明らかにしている健常者の舌圧発現パターン(各部位の発現順序・大小関係,均等性)の崩れを分析し,また喉頭運動についても同様に健常者における波形や舌圧との同期性との比較を行うことで,疾患特有の「異常パターン」を検出するにおいて有用なデータが集まりつつある. 嚥下姿勢の動画解析においては、頭部後屈による嚥下や極端なあご引き姿勢における嚥下などが観察されており,姿勢と舌圧・喉頭運動および嚥下障害との関連が導き出せつつある. 臨床評価との対照からその敏感度・特異度を算出するにはいまだに症例数が不足しており今後さらに被験者を増やし検討を行う必要があると考えられる. 頭部後屈姿勢にて嚥下するPD患者は口腔期の障害が重度であり、舌圧の発現も乏しい.そのため頭部後屈により口腔期嚥下の障害を補う意図がみられる. また,極端なあご引き姿勢において嚥下するPD患者においては舌圧発現は十分にみられるものの嚥下障害は頭部後屈を行うPD患者と同じく重度であると臨床的に評価される.これはむせや誤嚥などの嚥下障害のエピソードが過去にあり,嚥下失敗を避けるために行っている代償的嚥下法であると考えられる.徐々に機能低下が生じるPD患者においては指導法としてあご引き嚥下を指導するほうがより習慣的に誤嚥を予防できる可能性があると現時点で考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は15症例を目標に,嚥下時舌圧・喉頭運動および嚥下時の姿勢変化,PDの重症度と全身状態,嚥下障害ならびに口腔状態についての臨床評価を収集を行い、順調にデータ収集を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
1)データ収集の継続(第二次) 前年度から引き続いてデータ収集を行う. 今年度は,前年度とあわせてPD30症例(男女各15症例)を目標とする. 2)異常パターンの敏感度・特異度の検出 前年度に分析した各疾患特有の異常パターンについて,症例を増やして出現率を確認するとともに,嚥下障害の有無との関係を分析し,敏感度ならびに特異度を算出する.最終的に,舌圧・喉頭運動・嚥下姿勢の項目によって,各疾患特有の嚥下障害の病態像を表現し,臨床評価との関係から嚥下障害診断の基準となるカットオフ値を算出することを目標とする.
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Research Products
(4 results)