2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06397
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
朝魯孟 格日勒 神戸大学, その他の研究科, 研究員 (50759355)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2016-03-31
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Keywords | 清朝 / 外モンゴル / 牧地紛争 / 紛争処理 / 境界画定 / イフシャビ / 遊牧状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に以下の研究成果を成し遂げた。 (1)清代外モンゴルのツェツェン・ハン部の盟界画定過程の解明に取り組んだ。具体的には、モンゴル国立中央文書館所蔵の公文書史料に基づいて、まずツェツェン・ハン部が乾隆46(1781)年の盟界画定地域の対象とならなかったことについて考察した結果、その大きな要因は当該部における牧地問題・紛争の隠ぺいや牧地不拡張といった状況であったことがわかった。次いで、西部3盟の盟界画定状況と比較検討しながら、ツェツェン・ハン部とトシェート・ハン部が接する盟界の画定経緯を検証した結果、西3盟と同様に、乾隆55(1790)年に2人の在地モンゴル人王公によって東部2盟間の牧地境界が初めて画定され、両盟間の牧地紛争が収束できたことが明らかとなった。かくして、従来の研究における西3盟の盟界画定に、本研究で考察した東部2盟の盟界画定過程を加えることによって、外モンゴル4盟の盟界画定事業は概ね乾隆55年にようやく終了したことが明らかとなった。拙稿2014、2015と今回の研究成果を踏まえると、盟旗制度の一環として実施された盟や旗の境界画定事業には実に長い年月がかかっていて、清末に差し掛かる頃まで、最終的な境界がなかなか確定できなかったことが証明できた。これは、清朝の安定支配はさほど容易には外モンゴルで確立できなかったといった重要な意義を持つと考えられる。 (2)牧地境界画定から見た遊牧民の遊牧実態の解明といった課題の一端として、清代外モンゴルにおけるイフシャビの遊牧状況を検討した。その結果、旗の一般平民と同様に、イフシャビも、特定の旗の牧地のみで遊牧するように旗の牧地冊子に正式に登録され、その放牧地は基本的に特定の旗の枠内に制限されたことが明らかとなった。これは、イフシャビが当初の自由な遊牧権を清朝支配下で徐々に喪失していったことを意味している。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)