2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シーケンシング技術を用いた東アジア地域の高悪性化ピロリ菌に関する研究
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15H06404
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩本 彰 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (10757347)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | ヘリコバクターピロリ菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコバクターピロリ菌の一部は、cagPAIと呼ばれる約40,000塩基の外来性遺伝子群を有しており、同領域を保有するピロリ菌は病原性が高く、悪性化能が強い。cagPAI領域の最下流に存在するcagA遺伝子は最も重要な癌関連遺伝子である。cagA遺伝子からなるCagAタンパク質は、約1,200個のアミノ酸から構成され、C 末端領域には特徴的なアミノ酸配列が存在し、EPIYA繰り返し配列と呼称される。この配列は、欧米諸国に多い西欧型(EPIYA-C)と、我が国に多い東アジア型(EPIYA-D)に分類される。とりわけEPIYA-Dを持つ菌は、萎縮性胃炎の進展と胃癌の発生に密接に関与する。申請者は、次世代シーケンサーを用いたcagPAI領域とcagA遺伝子の詳細なディープシーケンスにより、癌化タンパク質CagAに関わる未知な悪性遺伝子変異を解明し得ると考えた。臨床分離ピロリ菌として、日本株(神戸、沖縄、福井)と海外株(ベトナム)、標準菌株であるATCC26695 とJ99の計24株は、シーケンスが終了した。これら菌株は、CagA分子多型別に、EPIYA-D群(東アジア型)20株とnon-EPIYA-D群(非東アジア型)4株に分類した。参照配列に対して、EPIYA-D群20株において、57個の共通した一塩基多型と36個のアミノ酸変異を認めた。そのうち、18個(50%)のアミノ酸変化は、ヒト細胞内膜と静電気的に結合するドメインⅡ領域に多く存在することを明らかにした。また、EPIYA繰り返し配列が存在するC末領域には、11個(30.6%)の共通アミノ酸変異が存在し、2種類の変異(Ile1065ThrとThr1151Met)は、EPIYA-D群20株全てにおいて存在していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在のところ臨床分離ピロリ菌として、日本株(神戸、沖縄、福井)とベトナム株に中国杭州株を加えた計38株のディープシーケンスが終了しているが、目標としている50株には達していない。また申請者自身が2015年度に長期入院加療を行ったため、研究ならびに成果発表が想定通りに行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーを用いた臨床分離ピロリ菌のディープシーケンスに関しては安定して施行出来ている。このまま目標である50株を解析し、癌化タンパク質CagAを精査の上、疾患(慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌)別に分類を行い、あらゆるゲノム変化を解読する。
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