2015 Fiscal Year Annual Research Report
R T Iモデルに基づく鳥取大学方式と多層指導モデルM IM を活用した音読指導
Project/Area Number |
15H06412
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
赤尾 依子 鳥取大学, 地域学部, 特命助教 (70756098)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 読字困難児 / 早期支援 / 特別支援教育 / 教育学 / 子ども / LD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、RTIモデルを用いた「鳥取大学方式(以下、「T式ひらがな音読支援」)」を実施し、読字困難児の早期発見・早期支援を行った。T式ひらがな音読支援は第1段階として、学級内で担任教諭による読み書き指導が実施されている中で音読確認を実施する。音読確認は、ひらがな習得段階を考慮し、第1回目(6月)は、直音150文字を連続して読む直音連続読み検査のみを実施した。第2回目(11月)は、直音連続読み検査と、拗音を含む50文字の単音を音読する単音連続読み検査の2つの検査を実施した。第3回目(1月)は、単音連続読み検査と、簡単な単文を3文章音読する単文音読検査を実施した。各検査は実施時期に応じて基準値が設定されており、その基準値のいずれか1つでも満たさなかった場合に、第2段階の解読指導を行った。解読指導は、タブレット端末を使用した単音(直音)音読課題であった。1日1回5分で、21日間実施した。その結果、小学1年生3月末時点での読字困難児は、2015年度は3.21%となった。この結果は、T式ひらがな音読支援未実施年度の小学1年生3月末時点での読字困難児の約1/2であった。 次に、2015年度の小学1年生で、第1回目の検査では基準値に到達したが、第2回目の検査では基準値に満たず解読指導対象児となった子ども達の躓きを分析したところ、9割の子ども達が単音連続読み検査の拗音音読で躓いていたことが分かった。したがって、2学期に拗音指導を徹底的に行えば、第2回目の解読指導対象児を減少させられる可能性が示唆された。さらに昨年度は、希望校にMIMを取り入れた拗音指導を2学期に実施できるよう指導した。その結果、MIM実施校では第3回目の解読指導対象児が未実施校と比較して、1/2以下に減少することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「T式ひらがな音読支援」を2015年度に実施し、読字困難児の早期発見、早期支援を行えた。合計すると1年間で約400名の児童が検査の基準に満たず、ひらがなをスムーズに読むための解読指導を受けたが、9割は改善し、最終的に3%台の読字困難児が検出された。これは、「T式ひらがな音読支援」未実施年度と比較する半分の値で、その効果が確認できる結果であった。最終的に読字困難児として残った3%の児童の特性を確認するシートも作成し実施したが、その結果の分析はまだ実施していない。 本取り組みを小学校現場で年間スケジュールの一環として取り組めるようにするための年間スケジュールの作成は実施できた。 さらに、モデル校を対象とした取り組みであったが、2学期にMIMによる拗音指導を実施することによって、3回目1月の解読指導対象児が激減することも確認できた。
以上より、1年目の課題であった、「T式ひらがな音読支援」の実施、モデル校を対象としたMIMの実施ができ、その効果も確認したため、おおむね順調に研究が進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、RTI(指導に対する反応)モデルに基づいた読字指導法の1つである「T式ひらがな音読支援」の社会実装より示唆を受けて、通常学級内での「多層指導モデルMIM」を活用した「1年生を対象としたひらがな音読指導」を提案するために以下の3点を研究課題としてあげた。①学級で一斉にできる「ひらがな習得プログラム」について、「多層指導モデルMIM」を参考に作成する。②通常学級で「ひらがな習得プログラム」および「解読指導」を行っても効果のない児童の特性をまとめ、「第3段階の指導児童の特性確認シート」を作成する。③「小学1年生を対象としたひらがな音読指導」の年間計画と実施マニュアルを作成する。 ①、②、③とも1年目の研究で基礎的な項目は確認できた。2年目は、これらを記述し、配布できる資料にしてゆく作業を行う。 ①については、みんなが実施できる形を模索する必要がある。MIM実施の効果の確認はできたが、学校現場は多忙なため、全ての学校でMIMが滞りなく実施できるわけではない。申請者は、研究結果を参考に、拗音指導を組み込んだ「ひらがな習得プログラム」項目の選定を行う。 ②については、「第3段階の指導児童の特性確認シート」作成、データ回収は1年目に実施できたが、シートの回収が3月末であったため、分析が出来ていない。2年目はこれらを分析し、結果をまとめる。 ③については、1年目に作成し実施した年間スケジュールを本年度も実施し、計画に無理がないかを確認する。
|
Research Products
(4 results)